トミフラの「ブレない」職人魂
トミー・フラナガン(Tommy Flanagan・以降「トミフラ」)は「ブレない」ジャズ・ピアニストだった。1950年代、ハードバップ期に頭角を現し、以来ずっと、1960年代のジャズの多様化の時代も、1970年代のクロスオーバー〜フュージョンの時代も、メインストリームな純ジャズ路線を踏襲してきた。決して流行に流されない、そんなトミフラの「ブレない」職人魂に僕は感じ入る。
Tommy Flanagan『Eclypso』(写真左)。1977年2月4日の録音。ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan (p), George Mraz (b), Elvin Jones (ds)。トミフラお得意のピアノ・トリオ編成。ドラムには、かの1950年代のトリオ名盤『Overseas』でトリオを組んだ、エルヴィン・ジョーンズがドラムを担当している(ちなみにベースはウィルバー・リトルだった)。
エルヴィンがドラムを担当するとなれば、やはり『Overseas』の再演となる4曲目の「Relaxin' at Camarillo」や、6曲目のタイトル曲「Eclypso」に耳がいく。『Overseas』の時より溌剌としていて、コクのあるパフォーマンスは聴き応え十分。ベースのムラーツは『Overseas』のウィルバー・リトルと比肩する腕の持ち主で、この『Overseas』の再演の2曲を聴いて、トミフラは確実に進化していたことを確信する。
タッド・ダメロンの「A Blue Time」やデンジル・ベストの「Denzil's Best」など、実に小粋な選曲もあって、なかなか楽しめるトリオ盤となっている。やはり、というか、特にというか、ドラムのエルヴィン・ジョーンズとの相性は抜群で、恐らくトミフラとしても、とても弾きやすいドラミングなんだろう、いつになく強力なプレイを繰り広げるトミフラが頼もしい。
ベースのジョージ・ムラーツについては、以降、しばしばトミフラのバックでベースを担当するムラーツである、トミフラとの相性は良好。2曲目の「Denzil's Best」での、ベースで奏でられた切ないテーマ部など、ムラーツの力量の片鱗を聴くようで、凄みすらある。アルバム全体を通じて、ムラーツの演奏をぐいぐい引っ張るベースラインは爽快である。
トミフラのバップ・ピアニストとしての「ハードなタッチがご機嫌なトリオ好盤」です。1970年代後半、フュージョン・ジャズ全盛期に、この様なメインストリームな純ジャズ路線のピアノ・トリオ盤を残しているところなど、トミフラの「ブレない」職人魂の面目躍如だと思います。ほんと、Enjaレーベルって良い仕事したなあ。
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