シルヴァーはブルーノートの音
ブルーノート・レーベルについては、独特の「音と演奏の雰囲気」がある。他のレーベルに無い、というより、ブルーノートだけが持つ独特の「音と演奏」の雰囲気。ブルーノートのアルバムを聴けば、冒頭の1曲を聴くだけで、ほぼブルーノートのアルバムであることが判る位である。
特に、その傾向は、1500番台、4000番台、4100番台という、ブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンがガッチリと関与しているシリーズに顕著である。録音技師のルディ・ヴァン・ゲルダーいわく「ブルーノート・レーベルだけが具体的に録音する音に関して指定をしてきた。私はそれを録音時に具現化しただけだ」。つまり、ブルーノート独特の「音と演奏の雰囲気」は、レーベルの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンと天才録音技師のルディ・ヴァン・ゲルダーのタッグによって生まれたものなのだ。
Horace Silver『Finger Poppin'』(写真左)。1959年1月31日の録音。ブルーノートの4008番。ちなみにパーソネルは、Horace Silver (p), Blue Mitchell (tp), Junior Cook (ts), Gene Taylor (b), Louis Hayes (ds)。それまで頻繁にメンバーチェンジしてきたホレス・シルヴァー・クインテットであったが、遂に「ミッチェル~クック」の鉄壁のフロントラインが確立した盤である。
ホレス・シルヴァーの「鉄壁のクインテット」が確立した盤であり、シルヴァーのファンキー・ジャズが成熟した盤でもある。冒頭の表題曲「Finger Poppin'」の充実した内容を聴けば、それが良く判る。しかし、シルヴァーのファンキー・ジャズはただの「脳天気」なファンキー・ジャズでは無い。ヴァラエティに富んだ曲想、そして、理知的で先進的でスッキリとしたグルーヴ感溢れるフレーズと展開。ホレス・シルヴァーの「鉄壁のクインテット」は「アーティスティック」なファンキー・ジャズ集団である。
そして、3曲目の「Swingin' The Samba」は、サンバのリズムを取り入れたファンキー・チューン。ボサノバ・ジャズ誕生以前のこの演奏は、後の「ボサノバ・ジャズ」のブームを先取りして余りあるもの。シルヴァーはポルトガルと黒人の混血である父親とアイルランドとアフリカ系黒人の混血である母親の血を引くピアニスト。その「血」がこのノリノリで爽快感溢れるサンバ・ジャズを生み出したと言えるでしょう。
ホレス・シルヴァーはブルーノート・レーベルのお抱えピアニスト。この盤の音は明らかに「ブルーノート・レーベルの音」。「ミッチェル~クック」の鉄壁のフロントラインのユニゾン&ハーモニーの響き、シルヴァーのファンキーなピアノの響き。テイラー〜ヘインズのリズム隊の臨場感溢れるアタック音。どれもが「ブルーノート・レーベルの音」。良い音してます。惚れ惚れします。
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