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2021年4月28日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・203

ブルーノート・レーベルは、ジャズのメインとなった老舗レーベル。1950年代から1970年代半ばにかけて、ジャズの演奏トレンドをいち早く押さえ、有望なジャズマンを発掘し、いち早くリーダー作を作成させ、ジャズの要となる音をしっかりと音源に残した、ジャズの重要レーベルなのだ。

しかし、1500番台、そして4000番台、4100番台のカタログを見ていると、ジャズの演奏トレンド毎に重要となるジャズマンの秀作かズラリと並ぶ中で、ジャズの演奏自体を楽しむ、ジャズの本質を愛でることを目的としているような、セールスやトレンドを超越した、聴いて楽しい、聴いて心地良い「モダン・ジャズ」盤が幾枚か存在する。

Bennie Green『Walkin' & Talkin'』(写真左)。ブルーノートの4010番。1959年1月25日の録音。ちなみにパーソネルは、Bennie Green (tb), Eddie Williams (ts), Gildo Mahones (p), George Tucker (b), Al Dreares (ds)。リーダーのベニー・グリーンのトロンボーンとエディ・ウィリアムスのテナー2管がフロントのクインテット構成。

メンバーの名前を見渡すと、リーダーのベニー・グリーンの名前以外、他の盤ではあまり聴かない名前ばかり。演奏を聴くと、それなりのレベルのジャズマンばかりなので、恐らく、ベニー・グリーンの気心知れた仲間で固めたのであろう。スイング・ジャズでも無い、ハードバップでもない、その中間の「モダン・ジャズ」な演奏が実に良い。
 

Walkin-talkin

 
冒頭の「The Shouter」を聴くだけで、この盤の演奏は「絶対に間違い無い」と確信する。ゆったりとしたテンポに乗って、エッジの丸い、ふくよかなトロンボーンとテナーのユニゾン&ハーモニーが長閑に響き、ラフではあるが、グルーヴ感濃厚なリズム&ビートが耳に心地良く響く。

あくせくしない、尖らない、誰よりも自分たちが、一番「モダン・ジャズ」な演奏を楽しんでいる、そんな穏やかであるが、ダンディズム溢れる演奏は魅力満載。特にリズム隊のゆったりとうねるようなグルーヴ感溢れるビートは癖になる。

そんなミッド・テンポがメインの演奏の中で、ベニー・グリーンのトロンボーンが良い雰囲気を醸し出す。決して速いフレーズを吹く訳では無い、ミッド・テンポの中で、ほんわか長閑にトロンボーンのブラスを響かせる。アドリブ・フレーズがどれも印象的で、ベニー・グリーンのベスト・プレイを集めた様な充実したパフォーマンスにしっかり耳を奪われる。

ベニー・グリーンが、ブルーノート・レーベルに残した4枚のリーダー作の中でも、とりわけグルーヴィーでアーシーでスインギーな内容は充実度満点。ブルーノートの4000番台のカタログの中で異彩を放つ、聴いて楽しい、聴いて心地良い「モダン・ジャズ」盤である。
 
 
 

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