ランディとマリエンサルの新盤 『Double Dealin'』
21世紀に入っても、ジャズの世界で「ハードバップ」は無敵だと思うのだ。かのマイルス・ディヴィスに「60年も前に流行ったハードバップをやって何が面白いんだ?」と怒られそうだが、一応、帝王に言い訳させて貰えるならば、現代のハードバップは「ネオ・ハードバップ」と呼ばれていて、60年前のハードバップの焼き直し(深化)ではあるが、物真似ではないんですよ、これが。
Randy Brecker & Eric Marienthal『Double Dealin'』(写真左)。2020年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Randy Brecker (tp, flh), Eric Marienthal (sax), George Whitty (key), John Patitucci (b), Dave Weckl (ds)。チック・コリアのバンドやザ・リッピントンズでも活躍したサックス奏者のエリック・マリエンサルと、ブレッカー・ブラザースで有名なランディ・ブレッカーによる双頭リーダー作品。
Randy Brecker(ランディ・ブレッカー)は、1945年11月、米国ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれ。ランディのトランペットは、ジャズ〜R&B〜ロックを縦横無尽に吹き分ける、フュージョンを地で行くトランペット。凄いなあと思うのは、ジャズでもR&Bでもロックでも、ランディのトランペットの音は変わらない。
Eric Marienthal(エリック・マリエンサル)は、1957年12月、カリフォルニア州サクラメント生まれ。僕はチック・コリアのエレクトリック・バンドでのプレイをよく覚えている。切れ味良く明るいトーン、クールで流麗なフレーズ、それでいて、音に芯があるので、マリエンサルのフレーズはしっかりと耳に残る。どちらかと言えば、フュージョン・ジャズ向きのサックスである。
この盤、ランディとマリエンサルの2管のプレイが素晴らしいのは当たり前として、リズム&ビートが明らかに60年前のハードバップとは違う。実際に演奏しているものとそれを基にプログラミングされているものと混在しているみたいだが、明らかに現代のリズム&ビート。切れ味良く端正、ファンクネスは適度、決してオーバー・ファンクにならない。そして、そこはかとなく「人の温もり」が感じられるリズム&ビート。いわゆる「ネオ・ハードバップ」向けのリズム&ビート。
ランディとマリエンサルのフロント2管は、そんな現代のリズム&ビートに乗って、爽やかファンキーでご機嫌なブロウを繰り広げる。ユニゾン&ハーモニーもバッチリ合って、この2管の相性は抜群に良い。聴き味良く、聴き味爽やか。こんな「聴き応え」のあるネオ・ハードバップな盤がリリースされるなんて、まだまだジャズは捨てたもんじゃ無い(笑)。ジャケがイマイチだけど気にしない気にしない(笑)。
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