ジャズ喫茶で流したい・200
何時の頃からか、イスラエル出身のジャズマン達による「イスラエル・ジャズ」が出現した。最初は不思議な響きのする名前のジャズマンやな、なんてボンヤリ感じていたが、最近では、イスラエル・ジャズは、ジャズのサブ・ジャンルとして定着した感があり、コンテンポラリーな純ジャズ志向の中で、着々と成果を上げ、着々と深化を続けている。
Gilad Hekselman(ギラッド・ヘクセルマン)。ヘクセルマンはイスラエル出身のジャズ・ギタリスト。ファンクネスやスイング感は皆無。リリカルで情緒豊かでネイチャー風、少し捻れていてエキゾチック。ちょっとパット・メセニーを想起する面はあるが、基本的に、今までの米国のジャズ・ギターには無い個性である。
Will Vinson, Antonio Sanchez & Gilad Hekselman『Trio Grande』(写真左)。2019年4月18ー19日、NY、クイーンズの「Samurai Hotel」での録音。ちなみにパーソネルは、Will Vinson (sax, key), Antonio Sanchez (ds), Gilad Hekselman (g)。3人のメンバーの共同リーダー名義。ベースがいない、サックス+キーボード、ドラム、ギターの変則トリオ編成。
作品のキャッチコピーが「ニューヨークの現代ジャズシーンで最も独創的でエキサイティングなミュージシャン3人によるトリオ”TRIO GRANDE”のデビュー作品」。
創造的で柔軟で情緒豊かなコンテンポラリー・ジャズ。3人の共同リーダーな作品ではあるが、サウンド的には、ギラッド・ヘクセルマンのギターがリードしている感が強い。サウンドの基本は「イスラエル・ジャズ」。クールで躍動感溢れる、ちょっとくすんで捻れたヘクセルマンのギターが演奏全体をリードしていく。
ヴィンソンのサックスも切れ味良く、スピリチュアルな響きがヘクセルマンのギターに効果的に絡む。このサックスとギターのアンサンブルの好調さが、この盤の即興パフォーマンスを引き締めている。
そして、リズムの要はサンチェスのドラム。フロントのギター、サックスの変幻自在なパフォーマンスをしっかりグリップし、リズム面ではしっかりとリードしている。このサンチェスのドラミング、聴きものである。
ヴィンソンは英国、ヘクセルマンはイスラエル、サンチェスはメキシコ系米国人。NYのクイーズで録音されているが、音の雰囲気は「イスラエル・ジャズ」であり欧州ジャズ風。多国籍でボーダーレスな、現在進行形のNYジャズの1形態がこの盤に記録されている。好盤である。
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