ジャズ喫茶で流したい・201
ジャズを聴き続けてきて、ずっと長年、気になっているピアニストが幾人かいる。そんな中の1人が「John Taylor(ジョン・テイラー)」。ジョン・テイラーは英国出身。ジャズとしてはマイナーな出身地となる。英国ジャズは「ビ・バップ」至上主義が長年、蔓延していたんだが、ジョン・テイラーは耽美的でリリカルな、とても欧州的なピアノを旨とする、英国ジャズからすると「変わり種」な存在。
Peter Erskine, Palle Danielsson & John Taylor『You Never Know』(写真左)。1992年7月の録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、John Taylor (p), Palle Danielsson (b), Peter Erskine (ds)。
英国出身のピアニスト、ジョン・テイラーと、北欧ジャズを代表するベーシストの1人、パレ・ダニエルソン、そして、コンテンポラリーなジャズ・ドラマー、ピーター・アースキン、以上、トリオを編成する3人が並列の共同リーダーの作品。ではあるが、リードしているのは、ドラマーのアースキンと思われる。
ジョン・テイラーのピアノは、耽美的でリリカル、モーダルで時々フリー。思わずキース・ジャレットに似ているな、と思うが、キースほど情緒的ではなく、大掛かりな展開は無い。ほど良くコンパクトにまとまった、聴き易いアドリブ展開と端正で硬調なタッチがジョン・テイラーのピアノの個性。英国出身ということで、基本的な音は「欧州的」。当然、ファンクネスは皆無。
それでもリズム&ビートは4ビート、若しくは8ビート。モーダルな展開が主なので、リズム&ビートは変幻自在。そんな柔軟度の高いリズム&ビートを、事も無げに、ダニエルソンのベースとアースキンのドラムは叩き出していく。これだけ優れたモードなリズム&ビートの供給を受けるのだ、ピアノを弾くテイラーは、実力をほぼ100%発揮しているであろう、自らのパフォーマンスに集中している。
ピーター・アースキンのドラムが凄い。僕はアースキンについては、ウェザー・リポートの全盛期のドラマーという印象があって、コンテンポラリーなエレ・ジャズの中で8ビートを叩きまくる、そんな印象が強かったのだが、どうしてどうして、コンテンポラリーな純ジャズの展開の中で、とっても硬派で硬軟自在なドラミングは見事。純ジャズでこそ、その実力を遺憾なく発揮するタイプなのでは、と思ったりする。
ダニエルソンのベースは、テイラーのピアノと相性が良い。演奏全体のベースラインが、ベースとピアノで重なったり衝突したりしない。ダニエルソンの柔軟度の高い演奏能力が大いに貢献しているのだが、振り返って見ると、ピアノにテイラー、ベースにダニエルソンを引っ張ってきてこのトリオ演奏を実現した、実質リーダー格のアースキンの慧眼恐るべし、である。
ECMレーベルらしい音世界。英国出身のピアニスト、スウェーデン出身のベーシスト、米国出身のドラマーという「多国籍」なトリオ演奏というところもECMレーベルらしい。ジョン・テイラーのピアノはECMレーベルに良く似合う。
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