素晴らしいテクの連弾ジャズ
ジャズ・ピアニストは「弾き方やタッチ、和音の重ね方に独特の個性を持ち味とする」タイプと「端正でリリカルな弾き回しで、突出した個性は無いが、ピアニストとしての総合力を持ち味とする」タイプと2つのタイプに分かれると思う。どちらのタイプもそれが、それぞれのピアニストの特徴なので、どちらが優れているとか、優劣をつけるレベルではない。
前者の代表例は、セロニアス・モンク、バド・パウエル、ウィントン・ケリー、キース・ジャレット、チック・コリアなどがそうで、1曲聴けば、ほぼ誰が弾いているのかが判るほどの「他には無い独特の個性」を発揮するタイプ。
後者の代表例は、トミー・フラナガン、ケニー・ドリュー、マルグリュー・ミラー、ケニー・バロンなどがそのタイプで、暫く聴かないと判別できないのだが、その弾きっぷりは総じて「端正でリリカル」。アドリブ・フレーズの弾き回しなどに、そこはかとなく個性が発揮される。
以前は我が国では、どちらかと言えば「他には無い独特の個性」を発揮するタイプがもてはやされたが、今ではそれは是正されたと感じている。ジャズの世界でも「偏った聴き方」は本当に少なくなった。聴き手の方も成熟〜深化しているのだろう。
Tommy Flanagan & Kenny Barron『Together』(写真左)。1978年の作品。日本のジャズ・レーベル「DENON」が企画・制作。ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan (p), Kenny Barron (p) のみ。ピアノの連弾によるデュオである。クラシック・ピアノにも連弾はある。ジャズ・ピアノにも連弾はあるが、即興演奏を旨とするジャズでは、アドリブ展開時の音の衝突の回避など、ややこしいことが色々あるので、あまり多くは無い。
良く似たタイプ、先に挙げた「端正でリリカルな弾き回しで、突出した個性は無いが、ピアニストとしての総合力を持ち味とする」タイプの代表的ピアニスト2人での連弾デュオである。聴けば確かに良く似た弾きっぷりで、最初は判別がつかない。聴いていると、演奏をリードしているのがトミフラで、それに神妙に追従しているのがバロンかと思う。トミフラの方がファンクネスの度合いが少し濃い。バロンのタッチの方が跳ねるようでシャープ。
ある談話でバロンは、トミフラがバロンの中学生時代からのアイドルだと語っていた。それを見て思うのは、神妙に追従してはいるが、その弾きっぷりは実に嬉しそうであり、楽しそうなのだ。リードするトミフラのピアノは連弾相手の音を良く聴き、優しく柔軟にリードしている様だ。音がぶつかることも重なることも無い、素晴らしいテクニックの連弾ジャズである。
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