「ジャズ・ピアノの神様」のソロ
21世紀に入った今でも、LP時代にジャズ喫茶などで聴いたことはあるんだが、CDの時代になって、久しく聴くことは無かった「これはこれは」と感心する様な歴史的名盤を発見することがある。特にジャズの音源が幅広くサブスクのサイトなどに音源がアップされる様になった2015年辺り以降、そんな「チャンス」に出くわすことが多くなった。
Art Tatum『Piano Starts Here』(写真左)。ジャズ・ピアノの神様と呼ばれたアート・テイタムのソロ集。1933年と1949年の2時代の、テイタムのまさに神の技としか考えられないプレイを納めたアルバムである。イラストをあしらったジャケットも懐かしい。日本盤のLPは所有していたが、CDの時代になって以来、聴くことは無かった名盤である。
このアルバムに収録されている時期のテイテムのパフォーマンスは、クラシックの名ピアニスト達とも並ぶ評価を受け、クラシック・ピアノの名匠ホロビッツさえ絶賛したという逸話が残っているほどだ。テイタムと同世代のファッツ・ウォーラーは、テイタムを「神」と呼び、カウント・ベイシーは「世界の8番目の不思議」と賞賛した。
先天的な白内障のため、片目は全盲で、もう片方もわずかな視力しかなかったというが、このテイタムのプレイは凄まじい。圧倒的テクニックを駆使して弾きまくるのだが、しっかりと歌心も備わっている。音楽として聴いていて、凄まじいテクニックが耳触りになることは無く、逆に聴いていてとても心地良いから不思議。
高速アドリブの凄さ、カデンツァの小粋さ、どこまでもスインギーなビート感、現代でも十分通用して余りある、非常に優れた即興演奏である。「ジャズ・ピアノの神様」と尊敬される理由がとても良く判るパフォーマンスがこの盤に記録されている。とにかく凄い。聴いていて惚れ惚れする。あっと言う間に聴き終えてしまう。
現代ジャズピアノ奏法の原型がここにある。アート・テイタムのピアノ・ソロに触れるには、この盤は好適だろう。1933年と1949年の録音なので音は良くないが、ピアノのソロ演奏なので、そのプレイのひとつひとつは良く聴き取れる。臆せず一度は聴いていただきたい、素晴らしい歴史的パフォーマンスである。
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