ブルーノートの企画型トリオ。
ブルーノート・レーベルには、意外と「ピアノ・トリオ」盤が少ない。総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンが、ピアノをフロント楽器の一翼を担う楽器では無く、リズム・セクションの一部と捉えていたのか、ピアノだけが主役の「ピアノ・トリオ」盤の作成が他のレーベルに比べて少ない。ピアニストがリーダーの盤も管を加えて、カルテットやクインテット、はたまたセクステットの編成で録音することが多い
『Introducing the 3 Sounds』(写真左)。1958年9月16, 18日の録音。ブルーノートの1600番。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p, celeste), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。トリオ名「The Three Sounds」。ブルーノート・レーベルで唯一の「お抱え」ピアノ・トリオである。あの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンの手になる「企画型」トリオである。
時代はジャズが人気音楽ジャンルだった頃。ブルーノート・レーベルの運営も軌道に乗り、ここで一発売らんが為の企画を打ち出したのではなかろうか。このピアノ・トリオ、当時、最先端だったモード奏法やファンキー・ジャズなど眼中に無い。最初から最後まで、徹頭徹尾、絵に描いた様な、ハードバップ志向のピアノ・トリオ演奏なのだ。
選曲もスタンダード曲やトラディショナルな曲がメイン。演奏も4分台の曲が多く、長くても6〜7分で押さえる。つまりは気軽に聴いて楽しむのに好適な演奏内容なのだ。しかも、端正で安定、明快なタッチとミッド・テンポが中心の、十分にリハーサルを重ねた、とてもお行儀の良いインタープレイの数々。即興性が希薄なので、硬派なジャズ者の方々からは概ね受けが悪い(笑)。
ジーン・ハリスのピアノは、そこはかとなくファンクネスが漂う端正なピアノ。アドリブ展開に破綻が無く、タッチは正確。アンドリュー・シンプキンスのベースは堅実&安定、ビル・ダウディのドラムは小粋で誠実。絵に描いた様な、教科書の様なピアノ・トリオ。いかにもブルーノート・レーベルらしいなあ、と思う。
あまりに端正で優等生的なピアノ・トリオなので、ピアノ・トリオ好きな我が国なのに人気はイマイチ。これだけ完成度の高いピアノ・トリオなのに、ジャズに何を求めているのやら(笑)。このスリー・サウンズのトリオ演奏については外れはありません。どの「スリー・サウンズ」版を手にしても、その中には極上のピアノ・トリオ演奏がてんこ盛りです。決して、避けて通ることなかれ、の好盤です。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
★ AORの風に吹かれて 【更新しました】 2021.03.06 更新。
★ まだまだロックキッズ 【更新しました】 2021.03.06 更新
・Yes Songs Side C & Side D
・Yes Songs Side E & Side F
★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2021.03.06 更新。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から10年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
« 静的な天才パウエルを押さえる | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・202 »
コメント