久し振りにクリスチャン・サンズ
Christian Sands(クリスチャン・サンズ)。1989年5月生まれ、というから、今年32歳の若手中堅である。デビューは弱冠12歳。2007年2月にはグラミー賞受賞式でも演奏したという早熟の天才。米国の若きピアニストの注目株の1人。我がヴァーチャル音楽喫茶『松和』では、2009年リリースの『Furioso』(2009年12月14日のブログ)から、時有る毎に注目している。
サンズのピアノは、耽美的なフレーズと太く切れ味の良い低音、じっくりと腰を据えて、音の「間」とピアノの「響き」を活かした、音に「ため」と「余裕」のあるインプロビゼーションを繰り広げる、ストレート・アヘッドで伝統的なピアノ。タッチは柔らかだが音は太い。テクニックは流麗。しかし、テクニックで聴かせる類では無い。
Christian Sands『Be Water』(写真左)。2020年の作品。ちなみにパーソネルは、Christian Sands (p, key, org, Rhodes), Yasushi Nakamura (b), Clarence Penn (ds) のピアノ・トリオをメインに、Marvin Sewell (g), Marcus Strickland (ts, b-cl), Sean Jones (tp, flh), Steve Davis (tb) が客演し、8曲目の「Be Water II」のみ、ストリングス・カルテットが入る。
クリスチャン・マクブライドの相棒ピアニストとして有名になったサンズのMack Avenue第3弾。本作はサンズが「水という物質のもつ性質~流動性・順応性」からインスパイアされた、現代のスピリチュアル・ジャズ的な雰囲気も漂う10曲。ブルース・リー の哲学的な文言からヒントを得た、「水」をテーマにしたコンセプト盤。コンセプト盤といっても堅苦しいところは微塵も無い。サンズのピアノの個性を最大限発揮出来る、楽曲と演奏の数々。
どの曲もサンズのピアノが生々しく迫ってくるのだが、70年代ロックのマニアの私としては、7曲目の「Can’t Find My Way Home」にとどめを刺す。この曲、当時ブラインド・フェイス(E.クラプトンが在籍)の『スーパー・ジャイアンツ』に収録された、S.ウィンウッドの名曲。この曲、サンズのピアノの個性を引き立たせるのに恰好のフレーズを持っていることが良く判る。いや〜懐かしい。
アルバム全体に渡って、不思議な「余裕」と「間」が感じられ、漂うファンクネスはしっかり乾いている。どちらかと言えば、東洋的であり、日本ジャズ的な音世界がユニーク。サンズは、上海のjazz at lincoln centerに在籍時、武道、東洋哲学に造詣が深くなったそうで、その影響なんだろうな。ジャズは「音の融合」の世界と言われるが、このサンズのアルバムを聴くと「至極納得」である。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
★ AORの風に吹かれて 【久々に更新しました】 2021.01.22 更新。
★ まだまだロックキッズ 【久々に更新しました】 2021.01.22 更新。
★ 松和の「青春のかけら達」 【久々に更新しました】 2021.01.22 更新。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から9年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
« テオ・ヒルは「隅に置けない」。 | トップページ | ケイコ・リーの素敵なライヴ盤 »
コメント