ブレーメンのミンガス 1975年
ブレーメンのミンガス、昨日の続きである。1964年、主力のエリック・ドルフィーが抜けて以来、しばらくの間、ミンガス・バンドは勢いを徐々に失う。時期的にポップスやロックの時代になったのに合わせて、ジャズがポピュラー音楽の中でマイナーな存在に落ちていった時期でもあったので、ストレート・アヘッドなジャズを旨とするミンガス・バンドとしては辛い時期だったと思う。
しかし、1974年の夏以降、テナー・サックスのジョージ・アダムス(George Adams), ピアノのDon Pullen(ドン・ピューレン)が加入して、ドルフィーを加えていた時代以来、久方ぶりに超強力メンバーをそろえたクインテット編成が成立。ドルフィーとはまた違った、ポジティブでスピリチュアルなアダムスのテナーが強力で、多弁で重量感のあるピューレンのピアノと相まって、極上のミンガス・ミュージックを再現している。
『Charles Mingus @ Bremen 1964 & 1975』(写真左)。チャールズ・ミンガス 1964年と1975年のブレーメン公演のライヴ音源。CD4枚組でのリリース。
CD1とCD2が「1964年4月16日、Sendesaal Radio Bremen’s Studio」での音源。CD3とCD4が「1975年7月9日 Post-Aula Auditorium Recorded by Radio Bremen」の音源。オリジナル・テープからリマスタリングした初の公式リリースである。
今日は、CD3とCD4、1975年7月9日の録音分について語りたい。ちなみにパーソネルは、Jack Walrath (tp), George Adams (ts, vo), Don Pullen (p), Charles Mingus (b), Dannie Richmond (ds)。先にご紹介した、テナーにアダムス、ピアノにピューレンを加えたクインテット編成。トランペットのジャック・ウォラスはそこそこリーダー作も出しているベテランだが、我が国ではほとんど無名。しかし、アダムスとの2管フロントは強力。
アダムスのテナーがエネルギッシュで、ストレートで切れ味良く、スピリチュアルなブロウが、ミンガス・ミュージックにピッタリ。ウォラスのトランペットも同傾向で、この2管フロントの迫力は凄まじいばかり。
ミンガスは強力な2管フロントを得て、安心して充実したうねる様な、鋼の様な、重低音ベースを弾き続ける。このミンガスのベースの迫力も凄まじいばかり。ピューレンの多弁で重量感のあるピアノとリッチモンドの覇気溢れるポリリズミックなドラミングが、これまた2管フロントを支え鼓舞していく。
演奏の適度なテンションとグループ・サウンドとしてのまとまりの面を踏まえると、演奏の充実度は1964年に勝るとも劣らない。ミンガスはこの録音の4年後、1979年1月5日に56歳の若さで逝去する。しかし、この1975年のクインテットの輝きは永遠に音源として残っている。
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