山本剛トリオ『Speak Low』
今年は和ジャズをしっかりと聴き直そうと思っている。もともと和ジャズは1960年代から充実していて、数々の好盤がリリースされている。が、CDの時代になって、なかなかリイシューが進まず、21世紀に入って10年ほど経って、やっと主要なアルバムはリイシューされたようである。
おおよそ、日本発のジャズ・レーベルの企画盤は、その企画意図がゆえに聴きどころは少ない。但し、トリオ・レコード、TBMレーベル、最近では、ヴィーナス・レコードについては、時々、駄盤はあるが、基本的には水準以上の好盤をリリースしていて、地雷を踏まない限り、間違いは無い(それでも、地雷を踏まない程度の知識と経験は必要にはなるのだが)。
山本剛トリオ『Speak Low』(写真左)。1999年8月8日の録音。ヴィーナス・レコードのからのリリース。ちなみにパーソネルは、山本剛 (p), 岡田勉 (b), 植松良高 (ds)。1970年代、耽美的でモーダルで硬派なジャズ・ピアノで好盤を連発していた「山本剛」のトリオ盤になる。
ヴィーナス・レコードからのリリースなので、耽美的な面をクローズアップした、勝手にレコード会社が想定する様な、日本人好みの「絵に描いた様なハードバップ」なピアノ・トリオ演奏が展開されるのかな、とあんまり期待せずに聴いたのだが、これがそうではないからジャズは面白い。
1970年代の山本剛のピアノそのままに、若かりし頃の尖ったところを押さえ、聴き易い展開に置き換えた、なかなか聴き応えのあるピアノ・トリオ盤に仕上がっているのだ。往年の流麗で端正なピアノ・タッチにスインギーな要素が強調されているところが「ミソ」。バックのリズム隊、岡田のベース、植松のドラムも、日本人好みの音に拘ること無く、自然にスインギーで判り易いリズム&ビートを供給している。
年季が入った「熟成」とでも形容できそうな、日本人らしい、ファンクネス希薄だがスインギーでそこはかとなくグルーヴ感漂う、意外と硬派な内容。言い方は良く無いが「ヴィーナス・レコード」らしからぬ、硬派でコンテンポラリーな純ジャズ志向のピアノ・トリオ盤に仕上がっていて感心した。好盤です。
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