チック・コリアが逝去、である。
チック・コリアが逝去した。2021年2月9日、享年79歳。まれな種類のがんを患っていたことがごく最近になって判明していたとのことだが、全く予想も想定もしていない、全くの「急逝」であった。今朝、ネットのニュースで知って、真偽のほどが判らず、米国の複数のニュース・サイトに飛んでいって、情報収集したところ、その訃報は真実だった。
去年はマッコイ・タイナーが逝去、キース・ジャレットが復帰困難、今回はチック・コリアが逝去。僕のお気に入りのジャズ・ピアニストが次々と伝説になっていく。人の寿命の事なので以前から覚悟はしているのだが、実際、そういう事実に直面すると、さすがに悲しい。自分自身も若くは無いので、身につまされる思いもある。
特に、チックについては、昨年の8月の終わりに、NHKのニュースで、福島の高校吹奏楽部の部員とのオンラインワークショプでの交流の様子が伝えられていて、コロナ禍真っ只中にも拘わらず、元気な様子だったので、チックも暫くは元気に活躍してくれるだろう、と勝手に思い込んでいた。いやほんと、とても元気だったんだよな。
チックについては、僕の3つの指に入る「お気に入りで音楽家として尊敬する」ジャズマンで、ジャズを聴き始める切っ掛けとなったアルバムの中に、チックのアルバムもあった。Chick Corea & Gary Burton『Crystal Silence』(写真左)である。この素晴らしいデュオ演奏を聴いて、これがジャズなのか、と驚愕した。それまでのジャズに対する印象が一気に変わった瞬間である。
そして、ほどなく手に入れて感動したのが、Chick Corea『Piano Improvisations Vol.1』(写真右)。チック初のソロ・ピアノ集だったが、心地良い微風が吹き抜けていくような、硬質で印象的で爽やかなフレーズが堪らなかった。こういうピアノを弾きたい、そんな気持ちを強く持たせてくれるピアノだった。そう、チックのピアノは「憧れ」だった。
逝去に伴う発表文では、チックが生前に残したメッセージも掲載されたとのこと。それをここに引用掲載させていただく。
「私と旅を共にし、音楽の火を明るくともし続けることに協力してくれたすべての人に感謝したい。私の願いは、演奏や制作、パフォーマンスなどをしたいという気持ちがある人には、それをしてほしいということ。自分のためでなくとも、ほかの人々のために。世界にはもっとアーティストが必要だというだけでなく、単に本当に楽しいものなのだから」。
あの世で、マイルスやパコ・デ・ルシアなどと、再会セッションを繰り広げるのかなあ。そうそう、ザヴィヌルとのダブル・キーボードというのも凄いぞ。はたまた、スタン・ゲッツに懇願されて、バックのリズム・セクションをやるのかな、トニー・ウィリアムスも既にあちらにいるしな。
本当に残念です。心よりお悔やみ申し上げます。
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今日、チックを取り上げて頂き感謝。チックは沢山のミュージシャンやファンに愛されている割に、なぜか雑誌のジャズ批評でも特集号がなく、評論家筋に冷遇されている様で残念でなりません。私もマスターの言説を支持している一人です。さらに、きちんとしたカタログ作りが急がれます。
投稿: 鈴木淳 | 2021年2月12日 (金曜日) 21時38分