ロック・オペラの優秀カヴァー盤
ジャズは世界的な音楽ジャンルである。米国だけでなく、欧州にもジャズはある。欧州ジャズと一言で片付けがちであるが、欧州については、ほぼ各国にジャズが根付いている。歴史についてもかなり古く、1950年代には欧州にはジャズが根付いて、欧州ならではのジャズが演奏され、アルバムが録音されていた。
そんな中でも、欧州のジャズ先進国としてあげられるのが、北欧諸国(ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、デンマーク)、英国、フランス、イタリア、ドイツ、オランダ。我が国で1970年代から親しみがあるのが、北欧諸国とイタリアのジャズ。特にイタリア・ジャズはかなり高いレベルのジャズが演奏されている。
Stefano Bollani『Piano Variations on Jesus Christ Superstar』(写真左)。2019年10月の録音。イタリア・ジャズが生んだ人気ジャズ・ピアニスト、ステファノ・ボラーニのソロ・ピアノ集である。17曲目「Superstar」のみ、Voiceが入る(Voice担当は、Stefano Bollani, Frida Bollani, Manuela Bollani and Valentina Cenni)。
タイトルを見てもしやと思い、17曲目の「Superstar」を真っ先に聴いて確信した。この盤、ロック・オペラの名作 「Jesus Christ Superstar」の名曲を題材に、ステファノ・ボラーニがソロ・ピアノ用にアレンジして、アルバム化したもの。いやはや懐かしい。「Jesus Christ Superstar」と言えば、1971年初演のロック・オペラ。1973年に映画化されてヒットした。
ボラーニのソロ・ピアノなのだが、これが素晴らしい。クラシック・ピアノに比肩する高テクニック。タッチが明確で流麗。弾き回すフレーズがキラキラしている。もともとがロック・オペラの曲がジャズのビートで演奏されるので、躍動感が溢れる。ダイナミックで説得力のあるフレーズの連続。しかし、ジャジーなビートだがファンクネスは皆無。
実は企画が企画なので、最初は半信半疑で聴き始めたのだが、一気に引き込まれてしまった。イタリア・ジャズの実力の一端が計り知れる、素晴らしいソロ・ピアノ集。収録された曲も原作にほぼ忠実。故に、ボラーニのアレンジの優秀性が引き立っている。欧州ジャズらしい、イタリア・ジャズらしい、ファンクネス皆無、ダイナミックではあるが、耽美的で流麗なピアノ・パフォーマンスが本当に素晴らしい。
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