クリフォード・ジョーダンの好盤
ジャズを聴くことを趣味にして、最初はジャズ盤紹介本を賑わすジャズ・ジャイアントのリーダー盤ばかりを聴き進めるのだが、徐々に、ジャズ盤紹介本の片隅に載っている、また、ジャズ喫茶でかかる小粋な好盤のリーダーの「隠れ名手のジャズマン」が気になり出す。また、ジャズの老舗レーベルのカタログを順に追っていって、突然出くわす「初めて出会うジャズマン」のリーダー作が聴きたくなる。
Clifford Jordan Quartet『Spellbound』(写真左)。1960年8月10日の録音。ちなみにパーソネルは、Clifford Jordan (ts), Cedar Walton (p), Spanky DeBrest (b), Albert Heath (ds)。クリフォード・ジョーダンのテナー1管がフロントのカルテット構成。クリフォード・ジョーダンのテナー・サックスが心ゆくまで楽しめる。
リーダーのクリフォード・ジョーダンは、1931年生まれ。惜しくも1993年3月に鬼籍に入っている(享年61歳)。この盤を録音した時、ジョーダンは29歳。少し歳はいっているが、まだまだ若手。ブルーノート・レーベルからリーダー作の機会を与えられ、3枚のリーダー作をリリース。ブルーノートを離れて、リヴァーサイド・レーベルからリリースした4枚目のリーダー作である。
ジョーダンのテナーは「端正」「整然」「穏健」。テナーの音に乱れが無い。しっかり吹き切っている。そして、旋律の音の一つ一つを丁寧に紡ぎ上げる。例えば、ダブルタイムを殆ど吹かないし、婉曲的な節回しは無い。そして、そのブロウはしっかりと抑制されている。人の耳に聴き心地の良い音の大きさ、滑らかさでテナーを吹く。
この盤でもそんなジョーダンは健在だが、この盤、とても良い状態でリラックスして、実に楽しげにテナーを吹いている感じなのだ。ブルーノートでのセッションは緊張感もあったし、気負いもあっただろう。しかし、ブルーノートでの3枚のリーダー作は、クリフォード・ジョーダンに自信を与えたのではないか。その自信からくる余裕と、その余裕から来るのであろう、演奏全体を包む「暖かさ」がこの盤の特徴である。
バックのリズム・セクションも好演。シダー・ウォルトンのモーダルで洒脱なピアノがジョーダンの端正なテナーに絡み、それをアルバート・ヒースのドラミングが鼓舞し、ドライブ感で推し進める。スパンキー・デブレストのベースは、しっかりと演奏のビートを支え、演奏全体の安定感に貢献する。ハードバップの成熟を聴く様な、実に味のあるカルテット盤である。
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