『The Amazing Bud Powell Volume Three - Bud! 』
バド・パウエルは「ピアノ・トリオ」の祖である。しかし、重度のジャンキーで様々な問題があった。ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンは大の「ジャンキー嫌い」。確かに、ジャンキーなジャズマンの演奏には、その良し悪しについてかなりの「バラツキ」があって、安定した状態での、そのジャズマンの真の実力と個性を記録するのが難しい。そこがライオンがジャンキーを嫌うところなんだろう。
通常ならばライオンは、絶対に、重度のジャンキーだったバド・パウエルのピアノを録音しようとは思わなかったと思う。しかし、バド・パウエルのピアノは「天才」のピアノ。その演奏スタイルは「ピアノ・トリオ」の祖と形容されるもの。重度のジャンキーながら、パウエルについては何とか記録しておきたい、とライオンは考え直したのだろうと推察している。
『The Amazing Bud Powell Volume Three - Bud! 』(写真左)。1957年8月3日の録音。 BNの1571番。ちなみにパーソネルは、Bud Powell (p), Curtis Fuller (tb), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。基本はパウエルメインのトリオ編成。6〜8曲目に、カーティス・フラーのトロンボーンが入ったカルテット編成。トロンボーン1管のワンホーン・カルテットって珍しい。
ライオンは、重度のジャンキーであったパウエルが、比較的まともな状態なのを見計らって録音したフシがある。ブルーノートの残したパウエルのパフォーマンスは、どれもがかなり整っている。多少のミスタッチはあれど、良い時のパウエルが紡ぎ出す独特のフレーズや高速な弾き回しを、ブルーノートはシッカリと捉えている。
この盤も例外では無い。比較的良い状態のパウエルが端正な音で記録されている。玄人好みの職人芸的リズム隊、ベースがポルチェン、ドラムがテイラーというのも、パウエルのパフォーマンスが良い状態になるよう配慮している。パウエルが苛つく事無く、自らのプレイに集中している感じが伝わってくる。
この盤は、比較的良い状態のパウエルのパフォーマンスを聴くことが出来る。グループサウンズとしての出来も良く、パウエルのソロ・パフォーマンスも申し分無い。破綻すれすれのスリリングなパウエルを求める向きには、この整って流麗なパウエルは物足りないかも知れない。しかし、我々、ジャズ・ピアノ者には、この盤でのパウエルは聴き易くて良い感じなのだ。僕はこの盤でのパウエル、かなりお気に入りです。
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