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2021年1月 7日 (木曜日)

前田憲男&WBのスタンダード集

振り返れば、1978年、ジャズを本格的に聴き始めてから、和ジャズについては、ほどなく触手を伸ばしている。当時、和ジャズは国際レベルで見て、米国ジャズ、欧州ジャズに比肩する、かなりの高レベルに達していた。当時、ジャズはフュージョン・ジャズ全盛だったが、我が国では、意外とコンテンポラリーな純ジャズが演奏されていたように思う。

ビッグバンド・ジャズも優れたバンドが多くあった様に思う。プロだけで無く、アマチュアにも優れたビッグバンドがあって、よくまあビッグバンドの運営について採算がとれるもんだ、と感心していたほどだ。高橋達也と東京ユニオン、原信夫とシャープスアンドフラッツ、宮間利之とニュー・ハード等々、ジャズ者初心者の頃、よく聴いたもんだ。

前田憲男とウィンドブレイカーズ『I'll Remember April』(写真左)。1981年の録音。フュージョン・ジャズ志向のビッグバンド、前田憲男とウィンドブレイカーズのスタンダード集。ちなみにパーソネルは、前田憲男 (p, key, org, arr), 数原晋 (tp), 伏見哲夫 (tp), 原田靖 (tb), 西篠孝之介 (ts), 稲垣次郎 (ts, fl), 砂原俊三 (bs), 沢田駿吾 (g), 荒川康男 (b), 猪俣猛 (ds)。
 
 
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リーダー前田のオルガンとエレクトリック・キーボードが軽快でポップで良い雰囲気を醸し出している。ピアノの硬質な音とは違う、丸くソフトでメロウなオルガンとエレクトリック・キーボードの音が、ちょっとフュージョンしていて聴き心地が良い。が、演奏自体はしっかりとアレンジされたスタンダード曲の、正統派なビッグバンドの演奏である。

このウインドブレイカーズの音の特徴は「切れ味とダイナミズム」。この「切れ味とダイナミズム」をそのままアコースティック楽器メインでやると、ちょっと音のキツい、耳が少し疲れるビッグバンドの音になる懸念がある。そこを、オルガンとエレクトリック・キーボードの丸くソフトでメロウな音を使い、聴き心地の良い柔らかな音で緩和している。

ハードバップ時代に流行ったスタンダード曲、1980年代に入って「手垢の付いた」感のあるスタンダード曲が、ポップで新しい響きを伴った、躍動感溢れる楽曲に変身しているところが実にニクい。一糸乱れぬアンサンブルも見事で、僕は、この前田憲男とウィンドブレイカーズのビッグバンドな音が大好きだった。今、聴いても良いですね。好盤です。
 
 
 

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