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2021年1月11日 (月曜日)

サブーの「リズム&ビート」盤

当ヴァーチャル音楽喫茶『松和』の「今日のラスト」(Twitter)で、初心にかえってブルーノート1500番台の聴き直しをしている。1月10日現在で「1572番」まで聴き直してきた。1500番台はビ・バップからハードバップ時代の著名なジャズマンの若き姿を記録していて、その内容の良さ、録音の良さ、ジャケットデザインの良さ、と揃いも揃った3拍子で、モダン・ジャズを聴く上で、絶対に外せないシリーズになっている。

ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの趣味趣向が思いっ切り反映された音作りで、リハーサルにもギャラを払って、そのパフォーマンスの出来を向上させる対応も素晴らしく、レーベルとしての「音の統一感と完成度」はピカイチである。ライオンは「ジャズの本質(ルーツ)」にも着目していたフシがあり、ジャズの基本のひとつ「リズム&ビート」に特化した「ライオンの狂気」と評される企画盤を幾枚かリリースしている。

Sabu『Palo Congo』(写真)。ブルーノートの1561番。1957年4月27日の録音。ちなみにパーソネルは、Louis "Sabú" Martínez (congas, bongos, vo), Arsenio Rodríguez (congas, tres, vo), Raúl "Caesar" Travieso (congas, vo), Israel Moisés "Quique" Travieso (congas), Ray "Mosquito" Romero (congas), Evaristo Baró (b), Willie Capó (vo), Sarah Baró (vo)。コンガ・ボンゴ奏者が5人、ベースが1人、ボーカル専任が2人。打楽器とベースとボーカルのみの編成。
 
 
Palo-congo  
 
 
アフリカン・ネイティヴのリズム&ビートとラテンのリズム&ビートの融合。モダン・ジャズの基本の1つが「リズム&ビート」。ハードバップ時代には、このリズム&ビートがアフリカン・ネイティヴなものをベースに、ラテンやカリビアンなリズムと融合している。それをいち早く、ライオンは記録しているのだ。しかし「リズム&ビート」に特化したアルバムを作るとは、ライオンの矜持には凄まじいものがある。

これ、当時としても売れないでしょう。それでもこの「記録」をレコードにして残そうとする。確かに「ライオンの狂気」とは言い得て妙。しかし、こういう企画盤をリリースするところに、ブルーノート・レーベルの先進性があり、このレーベルを特別なものにしているのだ。冒頭の「El cumbanchero」を聴けば良く判る。ラテンのリズム、キューバン・ミュージックのエッセンスが実に良く捉えられている。決してトレンドを追っただけの録音では無い。音の本質を突いた優れた録音である。

この盤、リーダーはサブー・マルチネスであるが、キューバン・ミュージックの至宝、アルセニオ・ロドリゲスのアルバムでもある。ラテンのリズム&ビートとキューバン・ミュージックの「ジャズとの融合」の旬を捉えた、パーカッションがメインの録音。独創的であり先進的でもある。他のレーベルには無い、ブルーノートの「アーティスティック」な側面を垣間見る様な好盤である。
 
 
 

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