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2020年12月 9日 (水曜日)

コルトレーンの初リーダー作です

初期のコルトレーンが気になりだした。特に、プレスティッジ・レーベル時代のコルトレーンをもう一度、聴き直したい、という気持ちがフツフツと湧いてきた。調べてみると、当ブログで、プレスティッジ時代のコルトレーンのリーダー作をしっかりレビューしていないことに気がついた。ということで、プレスティッジ時代のコルトレーンを聴き直して行くことにした。

John Coltrane『Coltrane』(写真左)。1957年5月31日の録音。この盤は同一日セッションの音源オンリーで、1957年10月にリリースされている。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Johnnie Splawn (tp), Sahib Shihab (bs), Red Garland (p on 1-3), Mal Waldron (p on 4-6), Paul Chambers (b), Albert "Tootie" Heath (ds)。基本はフロント3管(テナー、トランペット、バリサク)に、ピアノ・トリオのリズム・セクションがバックに控える。

この盤がコルトレーンの初リーダー作とされる。それにしては、ちょっと狙いがボンヤリとした、とっ散らかったパーソネルで、これはプレスティッジ・レーベルお得意の「エイヤっでジャズマン集めて、誰かをリーダーにして、ジャム・セッション分の一発録り」だったのではないか。コルトレーンの個性と特性をよく理解して、その上で人選をしっかりする、というプロデューサー的な動きが読み取れない人選である。
  
 
Coltrane-album
 
 
それでも、この盤のコルトレーンのパフォーマンスは申し分無い。テクニック的にも安定し、速いフレーズにも破綻の無い、どっしりと落ち着いた安定感が光る。アドリブ・フレーズも当時としては新しいイメージの、イマージネーション溢れる優れたもの。コルトレーンのテナー・サックスの個性と特性はこの盤を聴くと良く判るが、既に確立されており、この個性と特性をベースに発展していくことになる。

この盤でのコルトレーンの特に優れた点は「バラードの表現力」。あちらこちらで語り尽くされている感があるが、この盤の2曲目「Violets for Your Furs(コートにすみれを)」のバラード表現は絶品である。コルトレーンのジャズ・テナーの表現力が非常に高いことを証明している。この時点でのコルトレーンのテナー・サックスの力量は他のテナー・マンと比べて、頭ひとつ飛び抜けている。

ここから、コルトレーンはジャズと共に進化していく訳だが、プレスティッジ・レーベル時代のコルトレーンはまだまだ「進化前」。真の「進化」は、アトランティック・レーベルに移籍後の『Giant Step』を待たねばならない。しかし、進化前のプレスティッジ・レーベル時代のリーダー作は、ハードバップを極めていく「ハードバップなコルトレーン」を十分に楽しめる。
 
 
 

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