クロスオーバー・ジャズの成熟形 『"Live" On Tour In Europe』
1960年代後半、マイルスがエレ・ジャズをやり始めて、1960年代の終わりには、ジャズとロックの融合形であるクロスオーバー・ジャズが出現。エレクトリック楽器の飛躍的な進化と共に、ジャズのエレキ化が進み、クロスオーバー・ジャズもその内容は日進月歩で充実していった。そして、1970年代半ばでクロスオーバー・ジャズは、一旦、ほぼ成熟したイメージがある。
The Billy Cobham - George Duke Band『"Live" On Tour In Europe』(写真)。1976年7月27-29日ロンドンと7月6日モントルーでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Billy Cobham (ds, perc), George Duke (key), Alphonso Johnson (el-b), John Scofield (el-g)。たった4人で織りなす、重厚で8ビートなクロスオーバー・ジャズ。
コブハムの繰り出す8ビート、唸りを上げるデュークのシンセ、重低音を響かせグルーヴ感を生み出すアルフォンソのエレベ、ロックなフレーズを繰り出すジョンスコの捻れエレギ。時は1976年、フュージョン・ブームの入口。演奏内容はジャズとロックの融合、クロスオーバー・ジャズ。マイルスから始まったエレ・ジャズのバリエーション。
たった4人でこの重厚でスピード感溢れるエレ・ジャズ。とにかく、4人とも上手い。4人とも上手すぎる。めくるめく超絶技巧の世界。70年代半ばのクロスオーバー・ジャズの成熟した音。純ジャズ畑からクロスオーバーなエレ・ジャズに転身したジャズマン達独特の「純ジャズ的クロスオーバー感覚」が溢れている。ロックなビートを採用してはいるが、演奏の雰囲気は明らかにジャズ。
1970年代前半、マイルスが推し進めていたエレ・ジャズからファンクネスを大きく差し引いて、ポップな音作りを加味したクロスオーバーなエレ・ジャズ。シンセが唸りを上げ、エレギが捻れ響くインスト中心の演奏。まるで「プログレッシブ・ロック」な雰囲気だが、ジャジーなビートと途方も無い演奏テクニックが、これはクロスオーバー・ジャズだ、ということを確信させる。
ジョージ・デュークの弾き語り(?)にはドン引き、長いコブハムのドラムソロにはちょっと戸惑うが、演奏全体としては、クロスオーバー・ジャズの成熟形と言える演奏。それぞれのミュージシャンのコテコテの個性と、他を寄せ付けない筋金入りのテクニックが実に魅力的。とにかく凄い迫力のエレ・ジャズです。生で聴いてみたかったなあ。
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