デジョネットのディレクションズ
Jack DeJohnette(ジャック・デジョネット)は、キースの「スタンダーズ」でのドラム担当として有名だが、ドラマー単体としての実績については意外と語られないことが多い。デジョネット=キースのスタンダーズのドラマー、という図式が出来あがってしまっていることが原因なのだが、メインストリーム系の好盤がフュージョン全盛の1970年代後半に偏っているので判り難い、ということもある。
Jack DeJohnette's Directions『Untitled』(写真)。1976年2月の録音。ECMの1074番。ちなみにパーソネルは、Jack DeJohnette (ds, ts), John Abercrombie (el-g, ac-g), Mike Richmond (el-b, ac-be), Alex Foster (ts, ss), Warren Bernhardt (el-p, ac-p, clavinet, cowbell)。デジョネットのメインストリーム系ニュー・ジャズのグループ「ディレクションズ」のECMレーベル第一弾。
デジョネットのドラミングは「ポリリズム」。ファンクネスは控えめで、品が良く切れ味の良い、クールなポリリズムが身上。帝王マイルスがデジョネットを見初めて、「ロスト・クインテット」でドラムを叩いたが、ツアーに出るのが嫌で、マイルスの許を辞した、ちょっと変わり種のドラマー。ロスト・クインテットは1969年辺りだから、それから6年経っての「ディレクションズ」でECMデビューである。
このディレクションズ名義のアルバム、聴いてみると面白い内容。ECMのニュー・ジャズに染まりそうなんだが、デジョネットは米国出身のドラマー。やはり、ドラミングの底にはファンクネスが漂い、モーダルなアプローチが見え隠れする。この盤の面白いところは、この盤の内容が「ECMレーベルでのモード・ジャズ」風になっているところ。
ECMレーベルのアルバムなのに、パーソネルのメンバー全員が米国人というのも面白い。確かにこの盤のモード・ジャズのフレーズの色は「欧州風」なのだが、底にファンクネスが漂い、音の重なりがジャジーなのだ。他のECMらしい音とは確実に「一線を画している」。切れ味の良い、欧州風味が加味されたモード・ジャズ、と言った感じの即興演奏が実にユニーク。
デジョネットの「ディレクションズ」って意外と人気が無い。忘れ去られた感の強いグループだが、こうやって聴き直してみると、意外と内容の濃い、真摯でメインストリームな純ジャズである。エレクトリックな楽器を大々的に導入しているが、クロスオーバー臭さが無いのも、この盤の、このグループの特徴。
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