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2020年12月22日 (火曜日)

よくよく考えると「不思議な」盤

ハンク・モブレーは、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンが特に目をかけていたテナー・マンである。テナーの腕前もさることながら、彼の作曲能力を高く評価していたフシがある。が、それでも、1500番台では、ハンク・モブレーのリーダー作は6枚を数える。これは「破格の待遇」である。

『Hank Mobley』(写真左)。1957年6月23日の録音。BNの1568番。ちなみにパーソネルは、Hank Mobley (ts), Bill Hardman (tp),Curtis Porter (as, ts), Sonny Clark (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。ハンク・モブレーのテナー、ビル・ハードマンのトランペット、カーティス・ポーターのアルトのフロント3管のセクステット編成。

この盤でのモブレーはまずまず好調。パーソネルを見渡すと、同世代から年下のメンバーで固められており、こういう編成の下では、モブレーは遠慮無く、気持ち良くテナーが吹けるようだ。比較的元気の良いブロウを繰り広げている。出来としては「中の上」程度かな。ただ、本人の名前をズバリ掲げたリーダー作としてはちょっと物足りない。
 
 
Hank-mobley-album  
 
 
カーティス・ポーターという、この盤以外のジャズ盤であまり聞かれない、マイナーなアルト・サックス奏者が実に良いプレイを披露している。冒頭、ポーター作の「Mighty Moe and Joe」のファンキーでテンポの良いノリに「おおっ」と思わず身を乗り出す。続くスタンダード曲の「Falling in Love with Love」「Bag's Groove」では、モブレーのテナーとの絡みが実に良い。

しかし、ここまでポーターのサックスが目立つと、この盤って、誰のリーダー作だっけ、という気分になる。収録曲を見渡せば、リーダーのモブレーの自作曲は4曲目の「Double Exposure」の1曲のみ。あれれ。モブレーのテナーや作曲能力ににスポットと当てているのでは無い、このモブレーのリーダー作って、何なんだろう。いつもこの盤を聴く度に感じる「疑問」である。

アルトのポーターについては、この後、1960年代に入るとその名前を見ることは無くなる。といって、この盤で「これはポーターの素晴らしいプレイを記録した貴重盤だ」と推すには「何かが足らない」。リーダーのモブレーも出来としては「中の上」程度。よくよく考えると「不思議」な盤である。ただし、ハードバップな盤としては、雰囲気のある、まずまずの内容。そういう意味では「ブルーノート1500番台に外れ無し」。
 
 
 

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