« シェップが「バラード曲」を吹く | トップページ | 『Contradictions "A Look At the Music of Michel Petrucciani"』 »

2020年11月29日 (日曜日)

ECMらしいエレ・ジャズです

ECMレーベルは欧州ジャズの老舗レーベル。ECMは「Edition of Contemporary Music」の略。創立者はマンフレート・アイヒャー。西洋クラシック音楽の伝統にしっかりと軸足を置いた「ECMの考える欧州ジャズ」=アイヒャー自らの監修・判断による「美意識」を、限りなく静謐で豊かな「ECMエコー」を伴って表現した「ECM独特の音世界」。

Michael Naura『Vanessa』(写真左)。ECMの1053番。 ちなみにパーソネルは、Michael Naura (el-p), Klaus Thunemann (bsn), Wolfgang Schlüter (vib, mar, per), Eberhard Weber(b), Joe Nay(ds)。バズーンあり、ヴァイブありのおおよそ従来の純ジャズとは思えないパーソネルが、いかにもECMレーベルらしい。

この盤、パーソネルがここまで「ECMらしい」と、当然、音自体がとても「ECMらしい」はず。ECMレーベルでしか聴けない、即興演奏を拠り所にした「ニュー・ジャズ」の音が詰まっている。リズム&ビートに「4ビート」は無いし、スインギーな感覚は全く無い。それだけだと「ジャズ」にならないのだが、即興演奏のアプローチがまさに「ジャズ」らしい。
 
 
Vanessa  
 
 
均等に刻まれた8ビートなフレーズであったり、無調なフレーズだったり。現代音楽に近い、はたまた、初期のエレ・マイルスに近い、とてもECMらしいエレ・ジャズである。そして、限りなく静謐で豊かな「ECMエコー」がかかった音が、これまた「ECMらしい」。演奏内容は8ビートのエレ・ジャズだったり、フリーなジャズだったり。ECMお得意のニュー・ジャズな演奏が心地良い。

Michael Naura(ミハエル・ナウラ)は、リトアニア出身のピアニスト。この盤では彼独特のエレピの弾きっぷりがとても効果的。新しいジャズ、という感覚を上手く増幅させている。クラウス・トゥネマンのバズーンがとてもユニークな音色で独特の響きを漂わせ、ヴォルフガング・シュリュターのヴァイブは、硬質でクリスタルな音色で、切れ味の良い澄んだフレーズを供給する。

リズム隊については、エバーハルト・ウェーバーのベースが良く効いているし、ジョー・ネイのドラムは硬軟自在、緩急自在。ナウラのエレピの音をしっかりとサポートし、その魅力を増幅させているところは見事。ジャケット・デザインも含めて、この盤はその内容、音についても、とても「ECMらしい」。この盤については、ECMレーベルでした制作できないものだろう。「らしい」好盤である。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 
 ★ AORの風に吹かれて        【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・『Middle Man』 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・The Band の「最高傑作」盤

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・僕達はタツローの源へ遡った

 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

« シェップが「バラード曲」を吹く | トップページ | 『Contradictions "A Look At the Music of Michel Petrucciani"』 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« シェップが「バラード曲」を吹く | トップページ | 『Contradictions "A Look At the Music of Michel Petrucciani"』 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー