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2020年11月28日 (土曜日)

シェップが「バラード曲」を吹く

ヴィーナス・レコードは日本発のジャズ・レーベル。「昔の名前で出ています」的な、昔、第一線で活躍していたジャズ・ミュージシャンを再発見して、スタンダード曲をメインに演奏させるという、「従来の日本人好みの純ジャズ」的なアルバム作りをするレーベル。こんなミュージシャンにスタンダード曲をやらせるのか、なんていう「違和感満載」なプロデュースが賛否両論を巻き起こしている。

Archie Shepp Quartet『True Ballads』(写真左)。1996年12月7日、NYの「Clinton Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Archie Shepp (ts), John Hicks (p), George Mraz (b), Idris Muhammad (ds)。リーダーのアーチー・シェップのみならず、バックのリズム・セクションも、ベースのムラーツを除いて、その名を確認すると「昔の名前で出ています」的な、昔、第一線で活躍していたジャズ・ミュージシャンの再発見である。

スピリチュアル・ジャズ、そして、ジャズ・ファンクがメインのシェップに、スタンダード曲をやらせるのもどうかと思うが、加えて、バラード曲をやらせるなんて、かなり「違和感満載」なプロデュースである。しかも、ギャラが良いのか、シェップ自身がそんなオファーを受けて、スタンダード&バラード曲を神妙に吹き上げるのだから、これはこれで「違和感満載」(笑)。
 
 
True-ballads-archie-shepp  
 
 
収録曲を見渡しても、バリバリというか、まあ、「ど」の付く位のスタンダードなバラード曲がズラリ、である。そんなバラード曲を情感タップリに吹き上げていくシェップ。シェップの昔を知る我々としては「違和感満載」である(笑)。しかし、その演奏内容は素晴らしいもの。シェップって、実はメインストリーム志向のハードバップが一番合っていたりして。それほどまでの、極上のバラード、極上のテナー・サックスである。

1. The Thrill Is Gone ( R. Henderson )
2. The Shadow Of Your Smile ( J. Mandel )
3. Everything Must Change ( B. Ighner )
4. Here's That Rainy Day ( J. Van. Heusen )
5. La Rosita ( P. Dupont )
6. Nature Boy ( E. Ahbez )
7. Yesterdays ( J. Kern )
8. Violets For Your Furs ( M. Dennis )

バックのリズム・セクションも大健闘。ベースのムラーツだけは、当時、現役バリバリな存在だったので心配は無い。ピアノのヒックスなんて大丈夫か、と思ったりもしたが、神妙にリリカルで明確なタッチを駆使して、シェップのバラード・テナーをしっかりとサポートしていて立派。ドラムのムハンマドも堅実なドラミングで「まだまだやれるやん」。ヴィーナスお得意の「意外性と違和感満載」な好盤の一枚である。
 
 
 

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