時には「ジャケ買い」の逆もある
「ジャケ買い」という言葉がある。ジャズのアルバムで、ジャケット・デザインの良いものは中身の演奏も良いものが多い。つまり、ジャケットが良ければ、その場で衝動買いしても悔いは残らないことが多い、という格言みたいなものなんだが、時には「ジャケ買い」の逆もある。だから、アルバムのコレクションって楽しいのかもしれない。
Hank Mobley『The Jazz Message Vol.2』(写真左)。1956年の録音。前半2曲が11月の録音。パーソネルは、Lee Morgan (tp), Hank Mobley (ts), Hank Jones (p), Doug Watkins (b), Art Taylor (ds)。後半3曲が遡ること7月の録音。パーソネルは、Donald Byrd (tp), Hank Mobley (ts), Barry Harris (p), Doug Watkins (b), Kenny Clarke (ds)。サボイ・レーベルからのリリースになる。
ハード・バップ全盛に向かって、若きジャズ・ミュージシャン達が技を競い合った時期。いや〜錚々たるメンバーやなあ。サボイ・レーベルにしては珍しい、ハードバップの第一線で活躍している、メジャーなスター・ジャズマンを一斉に集めている。このメンバーを見ただけで、このアルバムの内容の良さは約束されたようなものだ。
リーダーのモブレーをはじめとして、若きドナルド・バードやダグ・ワトキンス、リー・モーガンが熱気溢れるハード・バップを展開。とりわけ、リーダーの若きハンク・モブレーの荒削りで野太い、それでいて歌心を感じさせるテナー・サックスは「これぞハードバップ、これぞモダン・ジャズ」的な音で、聴いていて心が和む。
トランペットのモーガンやバードは、もうこの頃、既に彼らそれぞれ特有の「クセ」が、ところどころに見え隠れして個性的。思わず口元が緩む。ワトキンスのベースは太くて堅実。ブンブン鳴る。早逝が惜しまれる。ハードバップの美味しいところが詰め込まれていて、代表的名盤で無い分、リラックスして聴ける。しかし、このアルバム、ジャズ盤紹介本などで、そのタイトルが挙がることは少ない。
恐らく、このアルバムのジャケットに問題があるんじゃないかと睨んでいる。悩みに悩んだモブレーの横顔。しかも、額に手を当てて痛々しいことこの上ない。アルバムのジャケットに、こんな写真、使うかなあ。タイポグラフィーはサボイ・レーベル特有の古くさい、どうでも良い感じのタイポグラフィー。このジャケットじゃあ、触手は伸びないな。でも、内容はなかなかの好盤です。
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