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2020年11月14日 (土曜日)

安らぎのコルトレーンならこれ

頭がヘトヘトに疲れたら、上手くリラックスできるジャズが欲しくなる。そんな時に選ぶのが、コルトレーンのプレスティッジ時代のアルバム。リラックスして聴ける、それでいてしっかりと耳に心地良い刺激を残してくれる、ハード・バップ時代のコルトレーンは「上手くリラックス出来る」ジャズだ。安らぎが欲しい時のコルトレーンは、絶対に「プレスティッジ時代」。

John Coltrane『Settin' the Pace』(写真右)。1958年3月26日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts) Red Garland (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)。名作『Soultrane』の1ヵ月後に同じメンバーで吹き込まれたアルバムである。プレスティッジには珍しく、同一日、同一パーソネルで固めている。お得意の「寄せ集めアルバム」で無いことはなによりである。

この盤では「安らぎのコルトレーン」が心ゆくまで堪能出来る。とりわけ、冒頭の1曲目「I See Your Face Before Me」と、2曲目「If There Is Someone Lovelier Than You」が「安らぎ」の名演。特に、1曲目「I See Your Face Before Me」の、イントロの後に出てくるコルトレーンのテナー・サックスの音色は安らぎに満ちて、美しく、思わずため息をついてしまうほどのロマンティシズムに満ちている。
 
 
Settin-the-pace
 
 
これほどまでに、優しく安らぐコルトレーンのテナーはそうそう無いだろう。後のインパルス時代の好盤『バラード』での、あっさり気味で素朴な雰囲気のテナー・サックスとは全く異なる、しっかりと情感を込めた、力強い、それでいて「安らぎ」溢れるテナーが、このアルバムの全てである。コルトレーンの名作と呼ばれる基本コレクションの次にコレクションに加えたい1枚である。

コルトレーンを聴くなら、必ず聴いて欲しい必ず聴いて欲しいプレスティッジの諸作。プレスティッジ・レーベルでのコルトレーンのリーダー作には外れが無い。そんなプレスティッジの諸作の中でも、この『Settin' the Pace』はお勧めの一枚。プレスティッジ以降のコルトレーンは、モードとフリーに傾いていって、エモーショナルなテナー&ソプラノ・サックスは聴いていてドッと疲れる。

ただなあ、ジャケットが「味もしゃしゃらもない」。中身は「名作・好盤」の類なのだが、このジャケットがなあ。何の工夫も無いというか、ただコルトレーンの顔写真にアルバム・タイトルを適当なタイポグラフィーであしらっただけというか、とにかく「名作・好盤」の風格に欠けることだけは確か。プレスティッジ時代のコルトレーンのリーダー作の唯一の難点が「ジャケット」である。
 
 
 

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