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2020年10月28日 (水曜日)

アルフォンソ・ムザーンの本質

一週間ほど前、Arild Andersen『Molde Concert』のドラム担当、アルフォンソ・ムザーンの名前を久し振りに見て、おお久し振りと思った反面、ECMレーベルで、メインストリーム志向のジャズ・ロック、メインストリーム志向のクロスオーバー・ジャズを叩いているのを聴いて、あれれ、と思った。ムザーンってそういうドラマーだったけ。

Alphonse Mouzon『The Essence of Mystery』(写真左)。1972年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Alphonse Mouzon (ds, perc, el-p, clavinet, Mellotron, vo), Buddy Terry (ss), Sonny Fortune (as), Larry Willis (key), Buster Williams (b), Wilbur Bascomb Jr. (el-b)。メンバーを見渡して、この盤、エレクトリックなジャズ・ファンクと見た。

アルフォンソ・ムザーンのブルーノート・レーベルでの初リーダー作になる。ムザーンは、ウェザー・リポート初代ドラマーであり、ラリー・コリエルのイレヴン・ハウス、ビリー・コブハムのスペクトラムでのドラマーも勤めている。1970年代には、R&B系のアルバムを複数枚リリースし、ムザーンの本質は、ジャズ・ファンク、クロスオーバー&フュージョン系のドラマーという印象が強い。
 
 
The-essence-of-mystery  
 
 
この『The Essence of Mystery』も、内容的には「ジャズ・ファンク&ジャズ・ロック」志向で、ムザーンのファンキーでグルーヴ感溢れるドラミング、疾走感溢れるハイハットの刻みが、それぞれの演奏でのキーになっている。そんなムザーンのグルーヴ感溢れるドラミングに、キーボードのリフが絡み、ホーン・アンサンブルもファンキーでブリリアント。

エレベの弾けるビートは少しユルユルで、そのそこはかとない「脱力感」が心地良い。そんなグルーヴ感満載のリズム隊をバックに、ソニー・フォーチュンが、ちょっとエスニックなサックスがファンキーなフレーズを吹き上げる。今の耳で聴いていも、なかなか内容のある、演奏のレベルも高い「ジャズ・ファンク&ジャズ・ロック」である。

当時、流行のクロスオーバー・ジャズがメインなブルーノートのBN-LAシリーズの中の一枚で、我が国では最近まで「ゲテモノ」扱いされていて、一部のジャズ・ファンク&ジャズ・ロック者の方々を除いて、見向きもされなかったが、ジャズ・ファンク&ジャズ・ロックのアルバムとしては「イケてる」内容。レア・グルーヴな盤として一聴に値する。
 
 
 

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