« こんなアルバムあったんや・135 『Oscar Peterson and Roy Eldridge』 | トップページ | 晩年のエレ・マイルスの究極盤『Tutu』 »

2020年9月24日 (木曜日)

Miles Davis『You're Under Arrest』

ジャズの帝王「マイルス・デイヴィス」のリーダー作をリリース順に聴き直していたのだが、2016年7月6日の『Decoy(デコイ)』で停滞しているのに気がついた。面目ない。自分自身、マイルス者なので、マイルスのリーダー作は定期的に聴く。聴かないと禁断症状が現れる。で、この聴き直しの次のアルバム自体が、この定期的に聴くマイルス盤として選択されなかったということ。で、今回、聴き直しを再開である。

Miles Davis『You're Under Arrest』(写真左)。1984年1月26日〜1985年1月14日での録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp, syn, voice), John McLaughlin (g), John Scofield (g), Bob Berg (ss, ts), Kenny Garrett (as). Al Foster (ds), Vincent Wilburn (ds), Robert Irving III (syn, celesta, org, clavinet), Darryl Jones, (b), Steve Thornton (perc, voice), Sting, Marek Olko, (voice)。

アルバムを聴く前にパーソネルを見渡せば、どんな「捻れてカッ飛んだジャズ・ファンク」な音が出てくるんだ、と思う。そして、パーソネルにある「Voice」とは何か、今までのマイルス盤に無い「担当楽器」に戸惑う。ラップでもやる気なの?なんて思ったりする。しかし、ジャズ・ファンクはもうずっとやっている。新たな挑戦として、この盤ではマイルスは何にチャレンジするのか。
 
 
Youre-under-arrest  
 
 
昔、この盤がリリースされた時、この盤に詰まっている音に対する「表現言葉」を持ち合わせていなかった。21世紀の今になって、やっと自分なりの、この盤に対する「表現言葉」を持つことが出来た。そう、この盤って、マイルス流のフュージョン・ジャズではないか。冒頭の「朗読劇」風のヴォイスも、それまでのマイルスに無い「ポップ」な工夫。そして、絶品のカヴァー曲が2曲。

Michael Jacksonの楽曲、2曲目の『Human Nature』と Cyndi Lauperの楽曲、7曲目の『Time After Time』が見事。ポップであり、ソフト&メロウであり、ジャズによるブラコンである。この2曲が軸となって、爽やかファンキーでこの盤では、ポップで判り易い、マイルス流のフュージョン・ジャズな演奏がズラリと並ぶ。もちろん、マイルスのトランペットは好調である。もちろん、バックを担う個性派ジャズマン達も好演に次ぐ好演。

エレクトリック・マイルスの中では、非ジャズ・ファンクなポップで聴きやすいアルバム。マイルスのジャズ・ファンク独特の「陰」のイメージがこの盤には全く無い。ポップで明るい演奏の中に、そこはかとなく漂う「寂寞感」はマイルスならではのもの。この秋の黄昏時に一人で佇む様な「寂寞感」は健在。この漂う「寂寞感」故に、この盤は単なるフュージョン・ジャズ盤に留まらず、やはりメインストリームなジャズ、正統なエレ・マイルスな盤として存在し続けているのだ。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 
 ★ AORの風に吹かれて    
【更新しました】 2020.09.02 更新。
 
  ・『Restless Nights』 1979
 
★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.09.02 更新。
 
  ・『The Best of The Band』
 
★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.09.02 更新。
 
  ・僕達は「タツロー」を発見した
 
 
Matsuwa_billboard 




★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 
東日本大震災から9年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 

« こんなアルバムあったんや・135 『Oscar Peterson and Roy Eldridge』 | トップページ | 晩年のエレ・マイルスの究極盤『Tutu』 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« こんなアルバムあったんや・135 『Oscar Peterson and Roy Eldridge』 | トップページ | 晩年のエレ・マイルスの究極盤『Tutu』 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー