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2020年9月21日 (月曜日)

「The Trio」の旗揚げ 『A Jazz Portrait of Frank Sinatra』

やっとのことで涼しくなった。もう明日は秋分の日。暑さ寒さも彼岸まで、というが、今年はとにかく9月に入っても酷暑が続いて、連日の熱中症注意報や警報が出まくる状態。そういう時は、熱いジャズ、気合いの入ったジャズ、バリバリ弾いたり吹いたりするジャズはどうしても敬遠したくなる。耳当たりの良い、爽やかで聴き易いジャズばかりを選択したりする。

Oscar Peterson『A Jazz Portrait of Frank Sinatra』(写真)。1959年5月18日の録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Ray Brown (b), Ed Thigpen (ds)。ピーターソン=ブラウン=シグペンの、いわゆるピーターソンの「The Trio」のメンバーであるが、この盤がこの3人のトリオ演奏の「旗揚げ」録音らしい。

ピーターソンのピアノが僕は大好き。ダイナミックでハイ・テクニックでスイング感抜群。いかなる難曲も弾きこなすであろう、高い技術力を武器に、とにかくバリバリに弾きまくる。「スイングの権化」と昔のジャズ評論家から揶揄されたくらいの「オーバー・スイング」な、正確無比でかつダンディズム溢れる弾き回し。欠点が見当たらない。よって、当時のジャズ者方々から「面白く無い」とも言われた(笑)。
 
 
A-jazz-portrait-of-frank-sinatra
 
 
ピアノ、ギター、ベースのトリオで活動を続けていたピーターソンが、ギターをドラムスに入れ替えたのである。ダイナミズムには拍車がかかり、スイング感もオーバー・スイング気味。それでもテクニックが超優秀なので、シナトラにまつわる名曲の数々を、ピーターソンは唄うが如く、ピアノを弾きまくる。そう、ピーターソンはピアノで唄っている。

バックのリズム隊も優秀。まず、ブラウンのベースがこれまた凄い。まあ、あのダイナミックでハイ・テクニックでスイング感抜群なピーターソンのピアノのベースラインをガッチリ受け止めるのだ。ヤワなベースでは破綻する。ブラウンくらいのハイ・テクニックな重低音ベースでないと受け切れないだろう。それは、ドラムのシグペンにも同じことが言える。

ピーターソン=ブラウン=シグペンの「The Trio」の、この3人のトリオ演奏の「旗揚げ」録音である。まだまだしっくりいかない所もあるし、打てば響く様なインタープレイはまだまだ発展途上。それでも、当時の他のピアノ・トリオの演奏と比べると、この駆け出しの時期にもかかわらず、この「The Trio」の演奏の方が、一歩抜きんでてるのだがら恐れ入る。意外と地味な位置づけの盤だが、内容的には一聴に値する。
 
 
 

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