« コリエルとカーンのデュオ盤 | トップページ | 「攻めに攻める」ピエラヌンツィ »

2020年9月30日 (水曜日)

スティープルチェイスの「今」

振り返ってみると、1970年代〜1980年代前半にかけて、フュージョン・ジャズの大ブームのお陰で、老舗のジャズ・レーベルについては、大手のコロンビアやヴァーヴなどは、なんとかメインストリーム・ジャズのアルバムをリリースし続けてはいたものの、多くが縮小撤退、若しくは活動中止に追い込まれた。しかし、1980年代半ば、純ジャズ復古によって、ほどんどの老舗レーベルが復活を果たしている。

Ronnie Cuber Quartet『Four』(写真左)。2019年の作品。ちなみにパーソネルは、Ronnie Cuber (bs), Ed Cherry (g), Brian Charette (org), Adam Nussbaum (ds)。最年少が、ブライアン・シャレットの47歳。リーダーのバリサク(バリトン・サックスの略)奏者、ロニー・キューバーは78歳。ベテラン〜レジェンド級のメンバーで固めた、小粋で渋いカルテット演奏である。

リリースは「スティープルチェイス・レーベル」。スティープルチェイスは、マイルス・コレクターとして有名なデンマークのニルス・ウインターが、1972年立ち上げたジャズ・レーベル。1970〜80年代を中心に、ジャズ史に残る名盤を数多く生み出した欧州ジャズ・レーベルの老舗。このレーベルは欧州のレーベルとしては、比較的、米国系のレーベルに近い演奏の色や雰囲気を持っていて、ハードバップ系の演奏に秀作が多い。さしずめ欧州の「ブルーノート」と言っても良い「欧州発ハードバップ」の宝庫。
 
 
Fourronniecuber
 
 
そんなスティープルチェイスであるが、現在も活動中。結構、渋くて小粋なハードバップなアルバムをリリースするので目が離せない。このキューバーの『Four』も、そんな渋くて小粋なハードバップなアルバムの一枚。ロニー・キューバーのバリサクが実に良い音を出している。キャリア60年以上の中、参加した盤は200枚を超えるらしいが、この盤でも彼のスタイルは全く変わらないし、衰えも見えない。とにかく、心地良い「ブリブリ・ゴリゴリ」の演奏。バックの人選も良い。

スティープルチェイス・レーベルは、欧州の「ブルーノート」と形容されるだけあって、録音の音の雰囲気は統一感があり、ジャケットも質素ではあるが、リーダーやメンバーの顔をあしらった統一感のあるデザイン。この盤もその「スティープルチェイス」色そのものの内容で、伝統的なハードバップ系の音作り。とても安心感のあるスイング感豊かな展開は、ジャズ者一般万民にお勧めである。

最後に選曲もなかなか。フィリー・ジョーの「Battery Blues」、リー・モーガンの「Sidewinder」、ホレス・シルバーの「Motivation」、スタンリー・タレンタインの「Sugar」、スタンダード曲の「Tenderly」「Just Friends」「How High The Moon」等々、なかなか凝った選曲、小粋な選曲も聴きもの。スティープルチェイス・レーベル、まだまだ健在である。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 ★ AORの風に吹かれて    
【更新しました】 2020.09.02 更新。
 
  ・『Restless Nights』 1979

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.09.02 更新。
  
  ・『The Best of The Band』
 
★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.09.02 更新。
 
  ・僕達は「タツロー」を発見した
 
 
Matsuwa_billboard 
 
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 

« コリエルとカーンのデュオ盤 | トップページ | 「攻めに攻める」ピエラヌンツィ »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« コリエルとカーンのデュオ盤 | トップページ | 「攻めに攻める」ピエラヌンツィ »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー