ジャズの原風景を見るような音
大雑把に言えば、おおよそ、ジャズの演奏トレンドは、1930年代は「スイング」、1940年代は「ビ・バップ」、1950年代は「ハードバップ」となる。時代毎のジャズの演奏トレンドに適応し、演奏スタイルを変えていったジャズマンもいれば、一旦、その演奏トレンドを極めたら、世の中の演奏トレンドが何に変わろうが、その演奏スタイルを変えないジャズマンもいた。
Lester Young & Teddy Wilson『Pres & Teddy』(写真左)。1956年1月13日の録音。リリースは3年後の1959年4月。ちなみにパーソネルは、Lester Young (ts), Teddy Wilson (p), Gene Ramey (b), Jo Jones (ds)。1956年のハードバップの時代には、あまり馴染みの無いジャズマンの名前が並んでいる。
双頭リーダーの片割れ、レスター・ヤングは、パーカーなど、ビ・バップ時代のジャズマン達から敬愛された「プレジデント(代表)」=愛称「プレス(Pres)」。そして、もう一方のリーダーであるテディ・ウィルソンは、スイングの雄、ベニー・グッドマンのコンボで活躍した、スイング・ピアノの代表格。スイング時代から第一線で活躍したレジェンド級のジャズマン。
この盤が録音された時代は「ハードバップ」時代のど真ん中。しかし、盤に詰まっている音は「スイング」。プレスのテナーは、ビブラートもしっかり入ったオールド・スタイルなテナー。それでも存在感&説得力が抜群。テディのピアノはどこまでもスインギー。アドリブ・フレーズの弾き回しのリズム&ビートが「スイング」。それでいて、フレーズの響きは新しい。
ジョー・ジョーンズは、カウント・ベイシー楽団初期の「オール・アメリカン・リズム・セクション」のドラマー。そして、ジーン・レイミーは、地味ながらスイング時代に活躍したベーシスト。この二人のリズム隊のリズム&ビートは明らかに「スイング」。ジャズの原風景を見るような、4ビートの横揺れスインギーなリズム&ビートが心地良い。
時代毎のジャズの演奏トレンドに適応し、演奏スタイルを変えていったジャズマンもいれば、一旦、その演奏トレンドを極めたら、世の中の演奏トレンドが何に変わろうが、その演奏スタイルを変えないジャズマンもいた。この盤のカルテットは明らかに「後者」。この盤を聴くと、ひとつの演奏トレンドを極めたジャズマンの奏でるジャズに宿る、強烈な「普遍性」に感動するのだ。
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私もこの盤は長年愛聴してます。特に一発目のAll of meは、何度聴いても飽きません。本物だけが持つパワーなんでしょうね。
投稿: nick.k | 2020年7月17日 (金曜日) 13時09分