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2020年7月31日 (金曜日)

TOKUのパリ録音、最新盤です

日本人の若手〜中堅のジャズ・ミュージシャンについては、完全に「女性上位」。男の子達、どうしたんだ、と言いたいくらい、優れた資質を持ってデビューしてくる若手ジャズ・ミュージシャン、そして、日本のジャズ・シーンを牽引する中堅のジャズ・ミュージシャン、どちらも何故か「女性上位」。そんな中で、優れたフリューゲルホルンとボーカルの二刀流で活躍する男性ジャズ・ミュージシャンがいる。「TOKU」である。

TOKU。本名は「馬場督之」。1973年の生まれ。ということは今年で47歳になる。バリバリ中堅のジャズ・ミュージシャンである。確か2000年に、ファースト盤『Everything She Said』で、メジャーデビュー、それから既に11枚のリーダー作をリリースしている。フリューゲルホーンについては癖の無い堅実な伸びの良い一級品。ボーカルは低音が良く聴いた、ダンディズム溢れる、どこかセクシーな正統派。このボーカルが僕のお気に入り。

TOKU『TOKU in Paris』(写真左)。今年5月のリリース。仏のジャズ・ピアニスト、ジョヴァンニ・ミラバッシを共同プロデューサーに迎えた、パリでの録音。ちなみにパーソネルは、Toku (vo,tp,flh), Pierrick Pedron (as), Giovanni Mirabassi (p), Thomas Bramerie (b), Laurent Vernerey (b), Andre “Dede” Ceccarell (ds), Lukmil Perez (ds), Sarah Lancman (vo)。今年の1月にパリで先行リリースされている。
 
 
Toku-in-paris
 
 
パーソネルを見渡すと知らない名前ばかりだが、この盤での演奏を聴くと判るのだが、どのプレイヤーもかなりの力量の持ち主ばかり。ゆったりとしたテンポで良い雰囲気の「ネオ・ハードバップ」な演奏を繰り広げている。そんな素敵な演奏をバックに、TOKUのフリューゲルホーン、トランペット、そして、ボーカルがグッと前面に浮かび上がってくる。

ファンクネス控えめ、しっとり落ち着いたミッドテンポの演奏とボーカルが実に良い雰囲気を醸し出している。TOKUのボーカルは絶好調。歯切れの良い、ダンディズム溢れる唄いっぷりは唯一無二。今までの男性ジャズ・ボーカルに無い個性で聴き応え充分。声がスッと伸びて揺らぐことは無い。低音がしっかり響いて、肉声であるが故、耳に心地良い。このTOKUのボーカルは「聴きもの」である。

ゲスト参加のサラ・ランクマンとのデュオも良い。ミシェル・ルグランの「I Will Wait For You」のカヴァーは素晴らしいの一言。日本盤のみのボートラには、アズナブールの歌唱でも知られる「For Me Formidable」を収録。これはTOKU初となる仏語での歌唱となるらしいが、なかなか堂に入っている。日本人中堅ジャズ・ミュージシャンの好盤。ジャズ喫茶の昼下がりに最適な、ちょっとアンニュイな雰囲気が素敵です。
 
 
 

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