ジャズマンの「二足の草鞋」
ジャズマンの中には、二足の草鞋を履く「マルチ奏者」も沢山いる。異なる楽器で二足の草鞋を履くケースでは「サックスとフルート」が突出している。「ピアノとヴァイブ」という組合せもある。変わり種としては「ベースとピアノ」。そして、もう1つのケース、主たる楽器とボーカルのケースでは「ピアノとボーカル」「トランペットとボーカル」が多い。たまに「ベースとボーカル」があるが、サックスとボーカルはほとんど無い。
Nat King Cole『After Midnight』(写真左)。1956年8〜9月、Hollywoodでの録音。ちなみにパーソネルは、Nat King Cole (p, vo), John Collins (g), Charlie Harris (b), Lee Young (ds), Willie Smith (as), Harry Edison (tp), Juan Tizol (tb), Stuff Smith (vln), Jack Costanzo (bongos)。ジャズ〜ポップス界のレジェンド「ナッキンコール」のジャジーな好盤である。
Nat King Cole。本名は「ナサニエル・アダムズ・コールズ(Nathaniel Adams Coles)」。真ん中の「キング」は愛称。1919年生まれ。1965年で45歳で早逝している。1930年代、スウィング・ジャズのピアニストとして活躍、ボーカルの才もあり、1944年「Straighten Up and Fly Right」を歌手としてヒットさせている。それ以降、コールは「ボーカリストとピアニスト」の二足の草鞋で大活躍する。
さて、この『After Midnight』は、それまでポップス寄りの楽曲でヒットと飛ばしていたコールが、自らの原点に立ち戻って、ジャズ・ピアノ&ジャズ・ボーカルを前面に押し出したアルバム内容。コールのピアノは、明らかにスウィング時代のピアノの音。シンプルだが、音を選んだ正確なタッチの弾き回しは「小粋で流麗」。自らのピアノのスタイルをしっかりと守って、自らのボーカルに、実に効果的な伴奏を施している。
ボーカルは言うまでも無い。コールの歌声は「とても良い声」。柔らかくて力強くて優しくて芯がしっかりと入っている。自信に満ちているような、堂々とした唄いぷり。とても説得力のある歌唱である。50年代に入り、本格的にソロ・シンガーに転向して、ポップス音楽のジャンルで数多くのヒットを飛ばす訳だが、この盤の歌唱を聴けば、コールの歌唱の原点もピアノと同じ「ジャズ」であることが良く判る。
1919年生まれなので、昨年「生誕100年」と言うことで、記念盤もリリースされたりした。まだまだコールの人気は衰えない。それほどまでにコールのボーカルは「普遍的な」ジャズ・ボーカルなのだ。そう言えば、まだ僕が小学校6年生の頃、NHK第1放送の夜の音楽番組にかかる、この「ナッキンコール」の「ルート66」などがお気に入りで、コールはシナトラと並んで、僕が小学生の時代から聴き親しんだボーカリストだったことを思い出した。
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