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2020年6月 8日 (月曜日)

もはや無敵のインタープレイ 『Always Let Me Go』

キース・ジャレットが活動を停止して2年になる。キース・ジャレットが2018年の活動をすべてキャンセルの報が流れたのが、2018年の6月。理由は「健康上の理由」。それ以来、キースに関する情報は何も流れてこない。スタンダーズを解散したのが2014年。その4年後にキース自身が活動停止。キースは1945年生まれ。今年で75歳。奇跡の復活はあるのだろうか。

Keith Jarrett『Always Let Me Go』(写真左)。2001年4月、東京のオーチャード・ホールと東京文化会館でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Keith Jarrett (p), Gary Peacock (b), Jack DeJohnette (ds)。キースの「スタンダーズ・トリオ」の3人だが、このライヴ盤で演奏されている内容はスタンダード曲では無い。完全なオリジナル、完全即興演奏一色の内容。

もともと、2001年4月23日~30日まで5夜に渡るライブ公演の内容は、全体の5分の3が「スタンダード曲」残りの5分の2が「オリジナルな即興演奏」という構成だったらしいが、本作はその内の5分の2に当たる「オリジナルな即興演奏」部分だけを抽出した内容になっている。キースの「スタンダーズ’トリオ」の3人の名前をジャケットで見ただけで、これは「スタンダード曲集」だな、と思って買うとビックリする位の「オリジナルな即興演奏」がギッシリ詰まっている。
 
 
Always-let-me-go  
 
 
とにかく全編、徹底した即興演奏が繰り広げられている。確かにキースの「スタンダーズ・トリオ」は、たまに「完全即興演奏」のアルバムを突如リリースするのだが、その演奏内容については、リーダーのキースが中心だった。基本的にキースのパフォーマンスが目立つような展開だったのだが、今回のライヴ盤については「3者均等」なのだ。ベースのピーコックも、ドラムのデジョネットも、キースと同じくらいの時間割り当てで、同じくらい目立っている。

キースのピアノについては尖った部分が穏やかになり、悟りを開いたような流麗感がそこかしこn漂う。『慢性疲労症候群』からの復活以降のキースの個性なので、気にはならない。一番目立っているのは、ドラムのデジョネット。あらん限りのテクニックを駆使して、凄まじいばかりの、鬼気迫る様な即興ドラミングを繰り広げている。それに呼応する様にブンブン唸りをあげるピーコックのベースも何時になく目立ちまくっている。

この3者3様のインタープレイを聴くと、やっぱりこの3人の演奏って「抜きん出ている」。他のジャズメンもなかなかやるなあ、なんて思っているのだが、この完全即興演奏をCD2枚分聴かされると、やっぱりこの3人の演奏って素晴らしい。前作『Inside Out』の続編のような内容だが、こちらの盤の方が、デジョネットとピーコック、リズム隊の2人が目立ちに目立っている。3者均等の「スタンダーズ・トリオ」。トリオのインタープレイとしては、もはや「無敵」の内容である。
 
 
 

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コメント

キースのスタンダード物は、ライブだと長尺が多いので、聴きながらいつの間にかダレてしまう。私の耳が、キースに全然追いついてないだけかも知れないけど。
それにしても、キース以上にディジョネットとピーコックが高齢になり、時代の流れを感じてしまう今日この頃です。

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