復帰後ロイドのブロウの個性
いよいよ梅雨入りである。このところ暫く、好天が続いたので梅雨入りが遅れた感があるが、こうやって入梅してみると、やっぱり梅雨は鬱陶しい。とにかく湿度が高いのが困る。ちょっと動いただけで「ベトベト、ジメジメ」。じんわり変な汗までかいて、不快なことこの上無し。こういう時には、クールで静的な耳に優しいジャズが良い。
と言うことで、今日も昨日に引き続き、復活後の「チャールズ・ロイド(Charles Lloyd)」。復活後のロイドは、こうやって振り返って聴くと、現代のジャズの新しいスタイルである「クールで穏やかなスピリチュアル・ジャズ」の先鞭を付けているように感じる。
恐らく、ECMレーベルの総帥アイヒヤーも、当のリーダーのロイドも、当時はあんまり意識はしていなかったとは思うが、1990年代のロイドのリーダー作は、そんな「新しいジャズの響き」に満ちている。
Charles Lloyd『All My Relations』(写真左)。July 1994年7月、ノルウェーはオスロの Rainbow Studio での録音。ちなみにパーソネルは、Charles Lloyd (ts, fl, Tibetan oboe), Bobo Stenson (p), Anders Jormin (b), Billy Hart (ds)。パーソネルは、前作『The Call』と同じ。復活後、やっとメンバーが固定化された。ということは、いよいよ、復活後の演奏のコンセプトとモチーフが固まった、ということなのだろう。
ECMの音のカラーを踏襲した、クールで穏やかなモード・ジャズ。耽美的であり静的であり、それぞれの音に透明感が溢れ、そこに心地良いECM独特のエコーがかかる。ロイドは意外と昔の演奏スタイルに戻って来ている。基本はコルトレーン。しかし、複雑でエモーショナルなブロウは皆無。判り易くポップなコルトレーン。しかし、そこに加わるのは、復帰後の独特の個性である「クールでスピリチュアルな」ブロウ。これが復帰後のロイドのブロウの個性の「決め手」となっている。
この盤、全編に渡って聴いていると、このロイドの「クールでスピリチュアルな」ブロウは、ピアノのボボ・ステンソンに引き出されているのでは、と感じるのだ。キースほど難しくは無い、奥ゆかしく、シンプルで耽美的で透明感のある「北欧ジャズ」ならではのステンソンのピアノ。ヨルミンのベースとハートのドラムの良きサポートを得て、ステンソンのピアノがロイドのテナーを支え、鼓舞する。
ECMの総帥アイヒヤーが全体をほど良くプロデュースして、前作までの「北欧のスピリチュアルなジャズ」は、この盤で「ロイドならではの新しいスピリチュアル・ジャズ」に昇華されている。後にジャズ演奏のトレンドとなる「端正で透明度の高い、クールなスピリチュアル・ジャズ」にいち早く適応している。
コルトレーン・スタイルの「ECMレーベルとの邂逅」。その結果が、このロイドの「クールでスピリチュアルな」ブロウに結集している。
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