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2020年5月24日 (日曜日)

お洒落なジャケは好盤のしるし

米国西海岸ジャズはお洒落で粋。小粋にアレンジされたテーマ部。流麗でテクニカルなアドリブ展開。手に汗握る熱いジャズ、というよりは、クールで聴いて爽やかなジャズ。そして、ジャケットも小粋なデザインのものが多く、特に、お洒落なイラストをあしらったジャケットが多い。このお洒落なイラストをあしらったジャケットの盤は基本的に「ハズレ」が無い。

The Bill Holman / Mel Lewis Quintet『Jive for Five』(写真)。1958年6月6日、米国ハリウッドでの録音。ちなみにパーソネルは、Bill Holman (ts), Mel Lewis (ds), Lee Katzman (tp), Jimmy Rowles (p), Wilford Middlebrook (b)。マイナー・レーベル「アンデックス・レコード」からのリリース。LPでは「幻の名盤」の類である。

テナー・サックスのビル・ホルマン、ドラムのメル・ルイスとの、双頭リーダーのアルバムである。両者とも、ビッグバンドにおける業績が輝かしいので、なかなかこういったクインテットなどでのソロイストとしての参加、そして優れたパフォーマンスが注目されることは少ない。

しかし、この盤の内容は充実している。ホルマンもルイスもジャズマン単独でのパフォーマンスについて、その力量がいかに優れていたかをこの盤は教えてくれる。ホルマンのテナーはクールで知的、ルイスのドラムは堅実でスインギー。大仰では無いが、小粋で真摯なパフォーマンスである。
 
 
Jive-for-five
 
 
収録曲については、前半の3曲が小粋なジャズ・スタンダード曲、後半の3曲がメンバーのオリジナル曲となっているが、演奏内容としてはしっかりとした統一感がある。1曲目のコール・ポーター作曲「Out Of This World」から、西海岸ジャズ特有の小粋でクールなジャズが展開されるが、この盤で面白いのは、西海ジャズには珍しく、ほんのりとファンキーな雰囲気が見え隠れするのだ。

ホルマンはクールで知性的なサックス奏者であるだけでなく、西海岸ジャズとしては、ちょっとファンキーな感覚を兼ね備えた作曲家兼アレンジャーでもあるのだ。このホルマンのアレンジが効いている。リー・キャッツマンのトランペットも「どこかファンキー」。小粋で洒脱な、クールでお洒落にアレンジされた、西海岸ならではのファンキー・ジャズが、この盤に詰まっている。

タイトルの「ジャイヴ」とは「ホットなジャズ、スウィング」の意。この盤に漂う、仄かなファンクネスが、そのスイング感を増幅する。大上段に振りかぶった大仕掛けのジャズでは無いが、小粋でクールなジャズがギッシリと詰まっている。

最後にジャケットが良い。カルテットのメンバーのイラスト(漫画)のジャケット。見ているだけで楽しく、見ているだけで小粋でクールなハードバップな音が聴こえてきそうだ。
 
 
 

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