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2020年5月 8日 (金曜日)

こんなアルバムあったんや・128

ステイホームで自宅にいる時間が長くなった分、いろいろとジャズ盤に関する情報収集や整理が捗っている。当ブログは、ジャズ者初心者向けのジャズ盤紹介が基本のブログであるが、当ブログでご紹介していない好盤がまだまだある。それらの盤について、詳細の情報収集をしたり、ネットや雑誌の情報を確認して、もともと自分が知らない好盤について、リサーチを進めたりしている。

Duke Ellington『The Duke Plays Ellington』(写真左)。1953年4月13, 14日、12月3日の3回に分けての録音。ちなみにパーソネルは、Duke Ellington (p), Wendell Marshall (b), Butch Ballard (ds, tracks 1-12), Dave Black (ds, tracks 13-15), Ralph Collier (congas, track 14)。1曲だけ、コンガが入るが、基本はエリントンのピアノをメインにした、ピアノ・トリオ演奏である。
 
タイトル通り、エリントン・ジャズ・オーケストラの統帥であるデューク・エリントンが、ピアニストとして、自らが作曲した名曲の数々を、ピアノ・トリオ編成でセルフカヴァーするという企画盤。ピアノが主役のピアノ・トリオでのパフォーマンスであること、そして、エリントン自らが作曲した、数々のスタンダード曲を演奏することで、デューク・エリントンのピアニストとして個性と特徴が際立つ内容になっている。
 
 
The-duke-plays-ellington-piano-reflectio  
 
 
エリントンのピアノは、音数を厳選した、印象的で耽美的な弾き回し。しっかりとしたタッチではあるが、ダイナミズムを抑制した、ほど良くコントロールされたスイング感。単音の音の響きを大事にした、シンプルなフレーズ作り。音数が少なく、シンプルではあるが、その典雅な響きは実に「クール」。そして、その「クール」さの裏には、しっかりとファンクネスが漂い、ブルースが流れる。
 
この盤を聴いて、エリントンは非常に優れたピアニストであることを再認識した。このエリントンのピアノの個性と特徴は、他のピアニストには無い。唯一無二の個性という面でも、ブルージーでスインギーであるという面でも、エリントンのピアノは「実にジャズらしいジャズ・ピアノ」と言える。その「ジャズらしいジャズ・ピアノ」で、最もジャズらしいひとつとされる、エリントン作のジャズ・スタンダード曲をセルフカヴァーするのだ。これはもう堪らない。
 
僕はこの盤をつい先日まで失念していた。というのも、この盤、1989年に、ブルーノートからCDリイシューされたのだが、その時のタイトルが、『Piano Reflections』(写真右)と新しく名づけられてのリイシューだったのだ。この時、僕は、このリイシュー盤、実は『The Duke Plays Ellington』であることを知らなかった。今回、とある資料を読んでいて、その事実を知った次第。そして、聴いてその優れた内容にビックリして、思わず「こんなアルバムあったんや〜」。 
 
 
 

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