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2020年5月 3日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・169

ジャズ・トランペットの好盤の聴き直し、というか、トランペットの好盤の中で、このブログでご紹介しそびれていた盤を選んで聴き直している。14年もブログを運営していて、このトランペットで「ブログでご紹介しそびれていた盤」が結構数ある。

もともと、一番好きな楽器がピアノ、そして、サックス、その次がトランペットなので、取り扱いの優先順位が低かったからかなあ、と思っている。

『The Magnificent Thad Jones』(写真左)。1956年7月の録音。ブルーノートの1527番。ちなみにパーソネルは、Thad Jones (tp), Billy Mitchell (ts), Barry Harris (p), Percy Heath (b), Max Roach (ds)。CDリイシューで追加された、ラストの7曲目「Something to Remember You By」にだけ、Kenny Burrell (g) が入る。

ジョーンズ3兄弟の次男、トランペッターのサド・ジョーンズの3枚目のリーダー作。一応、ビリー・ミッチェルとの2管フロントではあるが、明らかにサドのトランペットがフィーチャーされている。全編に渡って、このサドのトランペットが良い音を出している。速いフレーズは無いが、ミッド・テンポからスロー・テンポの曲で、少し丸い、伸びの良いブリリアントなトランペットの音が素敵だ。
 
 
The-magnificent-thad-jones
 
 
加えてアレンジが良い。どの収録曲も、この優秀なアレンジが、その曲の持つイメージをしっかりと惹き立たせている。バックのリズム・セクションもムーディーで良い雰囲気を醸し出している。ブルーノート・レーベルには珍しいトリオ構成で、職人肌バップ・ピアノのバリー・ハリス、職人肌の堅実ベースのパーシー・ヒース、そして、バップ・ドラマーのレジェンド、マックス・ローチ。雰囲気のある、上品で質感豊かなリズム&ビートを繰り出している。

CDのボートラ(ボーナス・トラックの略)については、LP時代のオリジナル盤の統一感を損ねるといった否定的な意見が多いが、この盤については「I've Got a Crush on You」「Something to Remember You By」どちらも雰囲気的に申し分無い。特に、後者には漆黒ブルージーなバレルのギターが加わっていて、ジャジーで小粋でスインギーな雰囲気がさらに色濃くなっている。

実は、僕はジャズを聴き始めた、かなり早い時期から、この盤を所有している。しかし、速いテンポのアグレッシブな演奏のが皆無の、ミッド・テンポからスロー・テンポの曲ばかりのこの盤がどうにも苦手だった。若い頃の自分にとっては、刺激不足でノンビリした雰囲気に感じた。

しかし、歳を取るにつれて、この盤のテンポとアレンジが心地良く感じる様になった。今では完璧な「お気に入り盤」。特にこの「ミッド・テンポからスロー・テンポの曲ばかり」のこの盤は、ジャズ喫茶の昼下がりに最適である。
 
 
 

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