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2020年4月 8日 (水曜日)

『Meet You at the Jazz Corner of the World』

またまた、Art Blakey & Jazz Messengers(アート・ブレイキー & ジャズ・メッセンジャーズ)のお話しである。ジャズ・メッセンジャーズは、ハードバップ系の演奏のスタイルやトレンドを取り入れて、その時代その時代の先端の、流行のスタイルやトレンドを牽引した。それだけ、優れた能力のある若手を入団させていた、ということで、リーダーのアート・ブレイキーのスカウトの目と腕というのは大したものである。

Art Blakey & Jazz Messengers『Meet You at the Jazz Corner of the World』(写真)。1960年9月14日、NYのジャズ・スポット「バードランド」でのライブ録音。LP時代は2枚に分けてリリースされる、ボリューミーな内容。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Wayne Shorter (ts), Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b)。前のライブ盤から、サックスが、ハンク・モブレーからウェイン・ショーターに代わっている。

このサックスのウェイン・ショーターの参加がキーポイントで、このライブ盤での演奏の基本は「モード・ジャズ」の変化している。1960年当時、ジャズの演奏トレンドは、ハードバップ系に絞れば、ファンキー・ジャズ、若しくは、モード・ジャズ。ファンキー・ジャズについては、このジャズ・メッセンジャーズは、サックスのベニー・ゴルソン在籍の第1期黄金時代の1958年に『Moanin'』で先鞭を付けている。
 
 
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この盤の録音時、1960年においてはファンキー・ジャズは最早、一般的になっていて、先端の演奏トレンドでは無い。当時、先端の演奏トレンドは「モード・ジャズ」。このモード・ジャズは、当時、最先端でクールな演奏トレンドだった。ブレイキーは、その「モード・ジャズ」を駆使して音楽監督の出来る若手有望ジャズメンを発掘。それが、ウェイン・ショーターだった。

このライブ盤の演奏は明らかに「モード・ジャズ」の雰囲気が濃厚。前ライブ盤の『At the Jazz Corner of the World』と比べるとその音の雰囲気の違いが良く判る。このライブ盤では、メッセンジャーズのメンバー全員が音楽監督のショーターに全てを委ねていて、ショーターも思う存分、その手腕は発揮している。そして、感心するのは、第1期黄金時代の他のメンバー。全員、モード・ジャズに適応しているから凄い。

このライブ盤では、ハードバップから進化したモード・ジャズの雰囲気を感じることが出来る。演奏のそこかしこにハードバップ時代の音の雰囲気が残っている。しかし、メインの演奏トレンドは明らかに「モード・ジャズ」。ハードバップ時代に活躍したメンバーがモード・ジャズをやると、こういう雰囲気になる、という好例がここにある。モード・ジャズ初期の成熟を聴く思いがする。好盤である。
 
 
 

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