ジャズ喫茶で流したい・167
デューク・エリントンの関連盤はどれも取っ付きが悪い。出てくる音がブルースを基調としたマイナー調の渋いフレーズの演奏が多いのと、独特のハーモニー感覚が原因と思っている。しかし、取っ付きは悪いのだが、聴き込んでいくと、どんどん味わいが出てくる。このマイナーでほの暗いブルージーなフレーズ、固有の泥臭さ、アーバンな雰囲気、が癖になる。
終生エリントンへ絶大なる敬意を抱いていた、かのマイルス・ディヴィスいわく、すべての音楽家は、すくなくとも1年のうち1日は楽器を横にエリントンにひざまずき、感謝の念を示すべきだ」。マイルスのみならず、ジャズメンは皆、エリントンの音楽に敬意を抱いている。確かに、エリントンの創り出す音は全てが「ブルージーでクール」だ。
Duke Ellington & Johnny Hodges『Play the Blues Back to Back』(写真)。1959年2月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Duke Ellington (p), Johnny Hodges (as), Harry "Sweets" Edison (tp), Les Spann (g), Al Hall (b, tracks 1 and 4),Sam Jones (b,tracks 2, 3, 5, 6, 7), Jo Jones (ds)。エリントン楽団の統帥デューク・エリントンはピアニストとしても優れている。今回の双頭リーダーのジョニー・ホッジスは、エリントン楽団の花形アルト・サックス奏者。
この2人をメインとして、エリントンの音楽性の最大の「要素」である、ブルースをテーマに素敵な演奏を繰り広げている。面白いのは、トランペットのハリー・エディソンと、ドラムのジョー・ジョーンズは、ベイシー楽団出身。つまり、この盤は、エリントン楽団とベイシー楽団の花形奏者が集結した「オールスター・コンボ」の演奏といえる。
エリントンのピアノは音を選んだ、間を活かしたピアノ。そんな「粋なピアノ」がブルースを奏でていく。ホッジスのアルト・サックスは硬質であるが「繊細でメロウ」。エディソンのトランペットはスィートで流麗、スパンのギターはブルージー。そんなフロント隊が様々なブルース曲を奏でていく。アーバンでアダルトなブルージーなジャズ。素敵だ。
ホールとサム・ジョーンズのベースとジョー・ジョーンズのドラムのリズム隊も堅実で豊かな「ブルージーでスインギーなオフ・ビート」を供給する。この盤で聴くことの出来る「ブルースだけを選んだ、ブルージーな演奏」は唯一無二。ジャズマンの中でも、ブルースを大得意とする希有な奏者達が共演しているのだ。この盤はブルースをテーマにした、一期一会の、唯一無二な「企画盤」である。
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