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2020年4月 4日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・164

ジャズは全世界に広がっている。ジャズを聴き始めた40年ほど前は、ジャズは米国の音楽だと思っていた。1990年代に入った頃だろうか。欧州ジャズの情報が徐々に我々一般のジャズ者にも届き始め、21世紀になって、インターネットが身近な物になって、欧州ジャズの情報は一気に増えた。そして感心したのは、ジャズは世界の国々にある、ということ。クラシック音楽の文化のある国にはまずジャズもある、と睨んでいる。

Marco Di Marco Chris Woods Sextet『Together In Paris』。1974年11月7日、パリでの録音。ちなみにパーソネルは、Marco Di Marco (el-p, ac-p), Chris Woods (as, fl), Jacky Samon (b), Keno Speller (bongos), Yaffa Seydou (congas), Charles Saudrais (ds)。マルコ・ディ・マルコはイタリアのピアニスト。クリス・ウッドは米国のサックス奏者。この二人が双頭リーダーのセクステット盤。

メインストリーム・ジャズにとって受難の年代であった1970年代。そんな受難の年代でも、メインストリーム・ジャズは綿々と好盤を創り出していた。この盤も、クロスオーバー・ジャズやフュージョン・ジャズとは一線画する、1960年代を彷彿とさせる、ダンサフルなボサノバ・ジャズである。電子キーボード(フェンダー・ローズ)は使用しているが、小粋で趣味の良いジャジーなフレーズを連発しているので良し、である。
 
 
Together-in-paris   
 
 
僕はこの盤をジャズ盤紹介本で初めて知ったので、この伊のマルコ・ディ・マルコと米のクリス・ウッドの二人がどういう経緯で出会って、この盤を録音したのかは知らない。マルコ・ジ・マルコのパリ録音三部作の中の一枚とのこと。しかし、この盤の内容が素晴らしい。それぞれのミュージシャンがその実力を遺憾なく発揮して、イタリアのスインギーでダンサフルなモード・ジャズを展開している。

冒頭の「Bossa With Regards」が素晴らしい。欧州ジャズらしい、ファンクネス皆無で端正なモード・ジャズから入って、途中、ボサノバ・ジャズへ展開するところは「聴きどころ」。当時、ジョルジュ・アルヴァニタス・トリオのリズム隊を形成するジャッキー・サムソン、シャルル・ソードレのボンゴ、コンガ、ドラムのリズム&ビートがラテン・フレーヴァーを撒き散らす。

続く「Portrait for a Golden Angel」は哀愁感たっぷりのウッドのフルートが沁みる。そしてラストのタイトル曲「Together In Paris」は、モーダルなジャズの名演だろう。ラテン・チックなリズム&ビートが、シリアスなモード・ジャズに、ポップな明るさを添えている。見事である。スピリチュアルな要素も見え隠れして、当時のメインストリーム・ジャズの好要素を集約した「総合力満点」の好盤だと思う。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》

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Never_giveup_4
 

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