ジャズ喫茶で流したい・168
確固たる理由は良く判らないのだが、ジャズ・サックス奏者の中で、フルートを持ち替え楽器とするケースが意外と多い。ビッグバンドのサックス奏者はクラリネットやフルートを持ち替え楽器にすることが多く、それに習ったのかもしれない。例えば、Eric Dolphy (as), Frank Wess (ts), 我が国では渡辺貞夫 (as) らがフルートで多くの名演を残している。
『Bud Shank Quartet Featuring Claude Williamson』(写真左)。Pacific Jazz 1230番。1956年11月7-8日、ハリウッドは「Capitol Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Bud Shank (as, fl), Claude Williamson (p), Don Prell (b), Chuck Flores (ds)。バド・シャンクのアルト・サックスがフロントのワンホーン・カルテット。ちなみにこの盤では、シャンクはフルートを結構、メインに吹いている。
冒頭の「A Night in Tunisia」、ビ・バップ時代の定番曲で、エモーショナルで躍動感のあるサックスやトランペットの見事な吹きっぷりが特徴なんだが、この盤では、シャンクはフルートでエモーショナルではあるが、流麗〜優雅に吹き込んでみせる。フルートの音色と相まって、どこかエキゾチックな雰囲気も漂う、新しいイメージの「チュニジアの夜」に思わず「おっ」と耳をそばだててしまう。
先にも書いたが、この盤のシャンクは本業のアルト・サックスと持ち替え楽器のフルートと、ほぼ半々で吹き分けている。とりわけ、フルートの流麗でテクニカルな演奏が印象深い。シャンクはジャズ・フルートも一流であることがこの盤で良く判る。3曲目の「All of You」のバラードでは、ゆったりと印象的なフレーズをフルートで吹き回している。8曲目の同じくバラード曲の「Polka Dots and Moonbeams」でのフルートも印象的だ。
シャンクのアルト・サックスもプレイも良い音出していて好調。2曲目のスローナンバー「Tertia」でのブリリアントな吹き回し、5曲目のベイシー楽団の十八番のジャンプ・ナンバー「Jive at Five」の躍動感溢れるアドリブも良い感じ、続く有名スタンダード曲「Softly, as in a Morning Sunrise(朝日の如くさわやかに)」もクールな吹きっぷりも見事だ。
実はこの盤、10ヶ月ほど前に同一メンバーで録音された『The Bud Shank Quartet』(2019年9月2日のブログ参照)、Pacific Jazz 1215番と同じタイトルなのだ。どちらの盤も「Featuring Claude Williamson」のサブタイトルが付いていて、ピアノのクロード・ウィリアムソンもメインに扱われている。こちらのジャケットはシャンクの全身イラストのジャケット。今日、ご紹介する方は、カラーで横たわってこちらを見るシャンクの写真のジャケット。紛らわしいことこの上無い。
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