チェットのトランペットが映える
3月である。今日は朝から北風がかなり強くて、日中、気温が上がれど体感気温は下がりっぱなしで、冬に逆戻りの感があるが、今年は暖冬傾向で暖かい日が多い。一昨日などは、4月上旬の陽気だったのだから、ちょっと早いけど春である。関西では、東大寺二月堂の「お水取り」が終わったら春、と言われるが、確か、お水取りは12日だったから、如何に今年は暖かいか、が判る。
我がバーチャル音楽喫茶『松和』では「春は米国西海岸ジャズ」である。暖かくホンワカした気候にピッタリやなあ、と昔から思っていて、春やなあ、と思ったら、選盤は暫く米国西海岸ジャズに偏る。お洒落なアレンジ、響きが心地良いユニゾン&ハーモニー、流麗でキャッチャーなアドリブ展開。耳に優しく、心に穏やかに響く、それでいて、やっていることはかなり高度。僕にとっては「春のジャズ」って感じなんですよね。
『Chet Baker & Crew』(写真左)。1956年7月の録音。ちなみにパーソネルは、 Chet Baker (tp), Phil Urso (ts), Bobby Timmons (p), Jimmy Bond (b), Peter Littman (ds), Bill Loughborough (chromatic timpani)。フロント2管(トランペット&テナーサックス)のクインテット編成に、一部、ティンパニが入る。リーダーのチェット・ベイカーについては、トランペットに専念している(CDのボートラにはボーカル入りがあるが、正式なアルバムとしては割愛)。
この盤でのチェットのトランペットは溌剌としている。流麗にストレートに吹きまくっている。チェットのトランペッターとしての才能を遺憾なく発揮している。とても、当時、重度の「ジャンキー」だったとは思えない。しかし、良く聴くと、溌剌としたトランペットの響きの裏に「愁い」というか「翳り」がそこはかとなく漂っている。しかし、これが良いのだ。健康優良児のチェットなんてありえない。アンニュイで翳りがないと物足りない。
演奏の印象は明確に「米国西海岸ジャズ」。冒頭の「To Mickey's Memory」を聴くだけで直ぐに判る。整った演奏、爽快なスイング感、適度な演奏の熱量、適度にアレンジされ、熱くも無くクール過ぎることも無い。爽快感溢れる演奏がズラリと並ぶ。バックの演奏も良い感じなのだがあ、やはり、この盤はチェットのトランペットを聴く盤だろう。この盤のチェットのトラペットを聴くと、当時、トランペッターとして人気絶大だったことが良く判る。
タイトルを訳すと「チェット・ベイカーと乗組員たち」。ジャケ写がヨットなので、チェットが船長(リーダー)、バックが乗組員(サイドメン)とかけた、ちょっとお洒落なタイトル。そんな和気藹々とした雰囲気が伝わる「心地良い演奏」がギッシリと詰まっている。歴史に残る名盤とは思わないが、米国西海岸ジャズの「レベルの高さ」と「楽しい雰囲気」をよく伝えてくれる好盤である。
《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》
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