ピアノ・トリオの代表的名盤・81
昨年の10月にスペインに旅行し、その中でバルセロナを訪れた。なかなかツアーでは訪れることのない「カタルーニャ音楽堂」を見学することが出来て、感激の極みであった。その「カタルーニャ音楽堂」の見学順路の壁にジャズ・ピアニストらしき写真があった。テテ・モントリューであった。そう言えば、彼は1997年に、この「カタルーニャ音楽堂」でソロ・ピアノ盤を録音している。
テテ・モントリューは、カタルーニャのバルセロナ出身のジャズ・ピアノの巨匠である。惜しくも1997年8月に64歳で逝去しているが、1965年に初リーダー作でデビュー以来、逝去する1997年まで、32年の長きに渡って欧米で活躍した、ジャズ・ピアノのレジェンド。端正で力強いタッチの中、スペイン音楽に聴かれる様な、哀愁感漂うスパニッシュな響きがほんのりと香る、ハードバップでモーダルなピアノの調べは、欧州ならでは、スペイン出身ならでは個性。
Tete Montoliu 『Catalonian Rhapsody』(写真左)。1992年3月8日、スペインはバルセロナでの録音。ちなみにパーソネルは、Tete Montoliu (p), Hein Van de Geyn (b), Idris Muhammad (ds)。日本のヴィーナス・レコードからのリリース。タイトルはズバリ、モントリューの故郷である「カタルーニャ」を採用している。タイトルから判る様に、この盤は、モントリューが、カタルーニャ地方の哀愁のメロディを、ピアノ・トリオで存分に表現したもの。
選曲を見渡すと、ヴィーナス・レコードらしからぬ、有名なスタンダード曲が見当たらない。1曲目「The Lady From Aragon (La Mama D'Arago)」から、5曲目「Song Of The Robber (La Canso Del Lladre)」までが、カタロニア地方の伝承曲を基にした演奏になっている。この5曲については、哀愁感漂うスパニッシュ風ではあるが、ちょっと独特な響きが宿るカタルーニャ独特の響きがユニーク。ついつい聴き惚れる。
残りの3曲のうち、2曲はカタルーニャの作曲家「Joan Manuel Serrat」の作、残りの1曲はモントリュー自身の作。つまりは、この盤はタイトル通り「カタルーニャの狂詩曲」である。これが良い。モントリューが故郷のカタルーニャをピアノ・トリオで、ジャズで表現する。そして、このトリオ演奏の内容が濃い。トリオの3者共に好調で、硬軟自在、縦横無尽のインタープレイが素晴らしい。
逝去の5年前とは言え、モントリューのピアノは好調を維持している。モントリューは僕のお気に入りのピアニストの一人で、昔から聴き親しんで来たが、この『Catalonian Rhapsody』という盤、モントリューのリーダー作の中で屈指の出来だと僕は思う。ヴィーナス・レコードからのリリースだから、という先入観だけで、この盤を遠ざけるのは勿体ない。久々に「ピアノ・トリオの代表的名盤」としてアップしたい。
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