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2020年3月10日 (火曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・75

今日は朝から雨。夕方には風も強くなって、大荒れの天気。3月に入って短い周期で天気が変わる。それでも、朝はずいぶん暖かくなった。暖かくなってくると、昼下がりには穏やかでホンワカしたジャズが聴きたくなる。そうなると、選盤に偏りが出てきて、毎年、春になると、米国西海岸ジャズの盤を選ぶ頻度が高くなる。

『Max Bennett』(写真左)。1955年12月14日、NYでの録音。ベツレヘム・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Max Bennett (b), Nick Travis (tp), Charlie Mariano (as), Jack Nimitz (bs), Carl Fontana (tb), Dave McKenna (p), Mel Lewis (ds)。 フロント4管のセプテット(七人)編成。

マックス・ベネットは、スタン・ケントン楽団出身、独立後、数々の名セッションに参加している米国西海岸ジャズの主要ベーシスト。ベーシストは基本的にリーダー作が少ない。ベネットも例に漏れず、リーダー作は少ない。そんな彼の貴重なリーダー作品であり代表作。洒落たアレンジによる典型的な「西海岸サウンド」を展開する傑作である。
 
 
Max-bennett-1  
 
 
ベーシストのリーダー作の理想形は、ベースの役割、ベースの音色、そしてそのテクニックをグループ・サウンズを通じて、自分志向のジャズ演奏の中で演出する形態。この盤はその理想形を踏襲していて、まず、典型的な米国西海岸ジャズの演奏の中で、ベネットのベースがしっかりと活躍している。適度な低音、軽やかなウォーキング・ベース。ベネットの個性がしっかり聴きとれる。

フロントが4管だが、その編成が「トランペット・アルトサックス・バリトンサックス、トロンボーン」と、テナーサックスが無くて、低音を司るバリサクとボーンの存在が目を引く。このユニークな編成の4管が、洒落たクールなアレンジによって、実に魅力的に響く。特にユニゾン&ハーモニーが絶妙な響き。

実は、この盤の演奏、米国西海岸ジャズにしては、かなりハードな演奏になっている。東海岸のハードバップのハードな演奏をちょっと想起するのだが、フロント4管をベースとした洒落たアレンジが、そんなハードさを和らげて「円やかなハードさ」に落ち着いて、やっぱりこれって、米国西海岸ジャズやなあ、とつくづく思うのだ。
 
 
 

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