音楽喫茶『松和』の昼下がり・74
毎月毎月、ジャズのアルバムが沢山リリースされるもんだ、と感心している。特に世界レベルで見てみると、かなりの数になる。ジャズがポップス音楽のメインから滑り落ち、マニアックでマイナーな存在になって久しいが、これだけの数のアルバムがリリースされるなんて、そんなにジャズにリスナーからの需要があるのかなあ、と半信半疑になっている。
しかし、ジャズ盤コレクターとしては、多くの新盤のジャケットを眺めているだけでも楽しい。喜ばしいことである。最近では、その新盤のリーダーの名前を見て、知らない名前の場合、まずジャケットを見てピンときたら、パーソネルを確認する。そして、そのパーソネルの中に、僕のお気に入りのジャズマンがいれば、必ず、その盤は聴く。で、今回はこの新盤である。
Jon Cowherd『Gateway』(写真左)。2019年12月のリリース。ちなみにパーソネルは、Jon Cowherd (p), Steve Cardenas (g), Tony Scherr (b), Brian Blade (ds)。カサンドラ・ウィルソン、ネイト・スミス、、ジョン・パティトゥッチとの共演のほか、作曲家・プロデューサーとしても評価の高い、とネットの記事にあるが、僕は、リーダーのピアニスト、ジョン・カウハードを知らない。
しかし、パーソネルを見渡すと、ドラムにブライアン・ブレイドがいるではないか。これは「買い」である。僕はブレイドのドラムが大好き。で、まずは冒頭のタイトル曲「Gateway」を聴く。躍動感豊かで壮大な音の広がりが魅力の音作り。エレギの音はファンクネス皆無、伸びの良い印象的な音色が印象的で、米国の大地の風景を見ている様な、フォーキーでネイチャーな音世界が実に良い。
ブレイドのドラミングがこの「ネイチャー・ジャズ」なサウンドに躍動感を与えているのだ。そして、リーダーの買うハードのピアノが、硬質でクリスタルな響きと流れる様なフレーズが「ネイチャー・ジャズ」なサウンドに拡がりを与えている。そして、ベースがしっかりとグループサウンドの底を押さえて、重心の低い、座りの良いモード・ジャズを支える。
この盤の特徴は、全編に渡った、米国の大地や大自然の風景を見ている様な、印象的でフォーキーでネイチャーな音世界。僕は以前より勝手に「ネイチャー・ジャズ」と呼ぶ。そんな音がギッシリ詰まった好盤。ジャケットを見れば、まさにその音の特徴にピッタリなイメージのジャケ写。ジャケット良し、パーソネル良し。そして、聴いてみると、音楽喫茶の昼下がりにピッタリの「良質のネーチャー・ジャズ」。
東日本大震災から8年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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