ラロカは「変わり種」のドラマー
ピート・ラロカ(Pete La Roca)は変わり種のドラマーである。ピート・ラロカは芸名。本名は「ピーター・シムズ(Peter Sims)」。ジャズ・ドラマーで弁護士である。1957年から1968年までは「ジャズ・ドラマー」。1968年から1979年までは法曹界に身を置いて「弁護士」。1979年からジャズ界に復帰している。この経歴だけでも「変わり種」である。
そのドラミングもちょっと風変わり。ジャズ・ドラマーでありながら、ファンキーな雰囲気は希薄。ジャズっぽくないドラミング。それでいてスイング感はあるが、そのスイング感はスクエア。幾何学模様のような、理詰めでキメたような「リズム&ビート」。このドラミングの個性って、新主流派のモーダルな展開にピッタリ。そう、ラロカのドラミングは「モーダルな」ドラミングである。
Pete La Roca『Turkish Women at the Bath』(写真左)。1967年5月25日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、John Gilmore (ts), Chick Corea (p), Walter Booker (b), Pete La Roca (ds) 。中世(?)の女風呂の絵がジャケットになっている。これだけ見れば、この盤の内容が硬派な「モード・ジャズ」、いわゆる「新主流派」の音がギッシリ詰まっているなんて思わないだろうな(笑)。
実はこの盤を初めて聴いた時、パーソネルを確認せずに聴いた。しばらく聴いていると、その展開は「新主流派」。ばりばりのモード・ジャズである。カルテットの演奏なのも判る。そして、ピアノがどうにも、どこかで聴いた音なのだ。それもかなり聴き込んだ音。高音域を中心にモーダルな、そしてどこかスパニッシュな雰囲気が漂う硬質でメカニカルなタッチ。そう、このピアノは「チック・コリア」である。
加えて、ライトでポップな、テクニックに走らず、平易でモーダルなテナーが良い。ジョン・ギルモアである。ウォルター・ブッカーのタイトなベースも良好。そして何より、さすがリーダーだけに、ラロカのドラミングが素晴らしい。ダイナミックでドライヴィングするドラミングはあまりに個性的。スクエアなスイング感、そして、縦ノリのリズム。バップではない。モーダルなドラミング。
アルバム・タイトルの『Turkish Women at the Bath』=「トルコの女が風呂に入っている」。なんとジャズらしからぬタイトルではないか。それでも中に詰まっている音は、思いっ切り「モーダルなジャズ」。4人がそれぞれ、より自由でアグレッシヴなプレイを展開しつつ、有機的に絡んだモーダルなジャズを演出する。特にチックが良い音出してます。チック者にはマスト・アイテムですね。
東日本大震災から8年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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