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2019年12月11日 (水曜日)

メル・ルイスの「双葉より芳し」

今、米国西海岸ジャズの中の、Mode Labelの「西海岸の肖像画ジャケット」のシリーズに填まっている。とにかく、西海岸ジャズの特徴と個性がグッと詰まっているのと、隠れた名手、隠れた個性をこのレーベルはピックアップしているので、リーダーが知らない名前であっても決して隅に置けない。

このMode Labelからリリースされたアルバムは録音時期が1957年の4ケ月間に集中しており、このMode Label自体、その短い期間に30枚弱のレコードをリリースした後、忽然としてシーンから消えた。実に不思議なジャズ・レーベルである。録音時期が1957年に集中しているので、このレーベルに残された音は、1957年、米国西海岸ジャズの最盛期の一年を切り取った、その時点での米国西海岸ジャズの状況を記録しているのだ。

『Mel Lewis Sextet』(写真左)。1957年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Charlie Mariano (as, ts), Buddy Clark (b), Mel Lewis (ds), Marty Paich (p), Bill Holman (ts, bs), Jack Sheldon (tp)。米国西海岸ジャズの精鋭達を集めた素晴らしいセクステット構成。米国西海岸ジャズはバリサクの活用が目立つが、ここでも、ビル・ホルマンがバリサクを担当している。
 
 
Mel-lewis-sextet-1  
 
 
冒頭の「Brookside」から、米国西海岸ジャズの「良きサンプル」の様な、米国西海岸ジャズらしい演奏が繰り広げられる。さすがにこのアルバムを流すと、3曲目くらいで、聴いている方は、これが「米国西海岸ジャズ」であることが明確に理解出来る。良きアレンジ、良きテクニック、心地良く響くフロント管のユニゾン&ハーモニー、流麗なアドリブ展開。これぞ「西海岸ジャズ」。

リーダーのメル・ルイスと言えば、後に、サド・ジョーンズ組んで「サド・メル オーケストラ」を立ち上げ、活躍したドラマーなのだが、そう言われてみれば、このリーダー盤に収録されている音世界は、どれもが「ジャズ・オーケストラ」に置き換えても、全く違和感の無いアレンジが施されている。メルの後のジャズ・オケでの活躍を暗示させる内容に思わずニンマリ。所謂「栴檀は双葉より芳し」である。

サイドメンのいずれも高いレベルのテクニックとパフォーマンスを披露していて、聴いていてとても心地良い。ジャズの良い部分をしっかりと感じさせてくれる好盤である。この盤を聴いてみて、米国ジャズを東海岸偏重で聴くことはあまりに能が無い、ということを再認識する。西海岸ジャズは個性と特徴をメインに、優れたジャズとしてのパフォーマンスを記録している。
 
 
 
東日本大震災から8年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
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