西海岸の幻の美人ピアニスト
Mode Labelの「西海岸の肖像画ジャケット」のシリーズ、ちょっと古風な肖像画の様な、やけにリアルな顔がアップのジャケットの他に、上半身の姿や全身の姿を描いたものもある。タッチが全く一緒なので確実に判別できる。今日は「上半身の姿」を描いたジャケットからの一枚。
『Joanne Grauer Trio』(写真左)。1957年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Joanne Grauer (p), Buddy Clark (b), Mel Lewis (ds)。女性ジャズ・ピアニスト、ジョアン・グラウアーがリーダーのトリオ編成。ジョアン・グラウアーは「幻の美人ピアニスト」と言われる。活動は長くは続かず、結局この一枚を残して消えたらしい。
しかし、このジョアンのピアノ、爽快である。明確なタッチと疾走感のあるアドリブ・フレーズ。端正なバップ・ピアノ。ファンクネスはほとんど感じないが、オフビートが明快で、マイナーなフレーズがアレンジ良く展開されるので、とてもジャジーに感じる。タッチが明確なので、初めて聴いた時は男性ピアニストだと思っていた。それほどまで、端正でダイナミックなピアノである。
タッチやフレーズを聴いていると、なんとなく、ハンプトン・ホーズを想起する。ハンプトン・ホーズよりも端正で明確。破綻が全く無いところがジョアンの良いところ。アドリブ・フレーズはスケールが広く、ダイナミック。スローなバラード演奏については、繊細なタッチで紡ぎ上げるフレーズがなかなか良い。
バックのバディ・クラークのベースとメル・ルイスのドラムが小気味良い。リズム&ビートを確実に刻むだけ、かと思いきや、よくよく聴くと、いろいろと小粋なことをやっている。切れ味良く、趣味良く、ジョアンのピアノを鼓舞する。これがまた、このトリオ盤の聴きどころである。小粋なリズム隊。良い感じである。
エヴァ・ダイアナ(Eva Diana)による特徴あるイラストからも、その美貌が伝わってくる。このトリオ盤一枚だけで姿を消したらしいが、なんと、自己プロモ用の限定プレス盤で、2008年にカムバックしている(写真右)。その演奏内容は「エレピによるファンク・グルーヴな演奏」らしい。なんともはや、理解不能な美貌ピアニストである。
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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