カーンの新作に心地良い爽快感
我が国では人気がイマイチだったが、僕はスティーヴ・カーンのギターがお気に入り。超絶技巧に弾きまくる訳では無いが、実はテクニック優秀。印象的にフレーズを弾き回すので明快で判り易い。ギターの音色とフレーズがロック・テイストなのが良い。Steve Khan(スティーヴ・カーン)。1947年4月、LA生まれ。今年で72歳。もはやレジェンドの域に達したカーンであるが、この人のフュージョン・ギターは、ずっとお気に入り。
Steve Khan『Patchwork』(写真)。今年の8月、そんなステーィヴ・カーンが新しいリーダー作をリリースした。2019年3月17 and 18日の録音。ちなみにパーソネルは、 Steve Khan (g), Ruben Rodoriguez (b), Dennis Chambers (ds), Marc Quinones (per), Bobby Allends (conga), Rob Mounsey (key), Randy Brecker (flh), Bob Mintzer (ts), Tatiana Parra (vo), Jorge Estrada (key)。
収録曲を見渡すと、1曲目の「Epistrophy」はセロニアス・モンク作。2曲目「C.&D.」と7曲目「T.&T.」がオーネット・コールマン作。3曲目「Bouquet」はボビー・ハッチャーソン作。5曲目「A Shade Of Jade」はジョー・ヘンダーソン作。8曲目「The Journey Home」はキース・ジャレット作。9曲目の「Huracan Clare」のみが、スティーヴ・カーン作。
冒頭のセロニアス・モンクの「Epistrophy」、モンクの「癖のある」曲。大体、凡百なジャズメンだとモンク色に染まって、自らの個性を明け渡してしまうところだが、スティーヴ・カーンのギターはそうはならない。曲のコンセプトは踏襲しつつ、演奏の雰囲気は明らかにスティーヴ・カーンの個性に染まっている。冒頭のモンクの曲はそういう雰囲気なので、他の「癖のある」曲もしっかりとスティーヴ・カーンの個性に染まっている。
端正でロック・テイストでちょっと浮遊感のあるスティーヴ・カーンのエレギのフレーズ。ちょっとクロスオーバー・ジャズ寄りの硬派なギター・フュージョン。そんなクールでアグレッシヴなティーヴ・カーンのギターの個性が映える。アレンジも優秀。スティーヴ・カーンのギターが映える様、「癖のある」曲たちに絶妙なアレンジを施している。
完全復調したデニス・チェンバースが久しぶりに参加。リズム&ビートに変化と彩りが加わって、良い効果を生んでいる。ルーベン・ロドリゲスのベースもカーンとの相性は抜群。ロブ・マウンジーのシンセがなかなか良い味出している。こういったバックにも恵まれて、今回のカーンの新作はなかなかの内容に仕上がっている。聴き終わった後、心地良い爽快感が残る。好盤である。
東日本大震災から8年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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